1994 Fiscal Year Annual Research Report
受精・着床におけるヒト主要組織適合性抗原(HLA)の役割の研究
Project/Area Number |
05771238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉川 文彦 信州大学, 医学部, 助手 (60240256)
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Keywords | HLA / EPF / 受精 |
Research Abstract |
原因不明不妊症患者の中のearly pregnancy factor(EPF)の活性の上昇を認めるものの、human chorionic gonadotropin(HCG)活性の上昇を認めない患者を超早期の流産ととらえ、習慣性流産では関係しているといわれている夫婦間のHLAの適合性を検討することにより、HLAの妊娠維持機構への関与を検討した。 対象:信州大学妊孕外来を受信し、不妊症一般検査及び腹腔鏡検査で不妊の原因が不明とされた夫婦を抽出し、さらにこの夫婦を対象とし、マイクロ化したEPF活性測定系を用い、排卵後4日、8日、12日に採取した血清のEPF活性を測定し、1度でも陽性を示したもののHCG陽性を示めさずに妊娠にはいたらなかった夫婦10組を対象とした。コントロールは第8回日本HLAワークショップにて登録された3人以上健康な子供を有する健康な子供を有する健康な日本人夫婦138組とした。 結果:患者群とコントロールとの(1)HLAclass抗原の夫婦間での適合性、(2)HLAclss2抗原の夫婦間での適合性、(3)流産3回以上とコントロールとのHLAclass1抗原の夫婦間での非共通性の4点についてかい2乗検定を用いて、統計的な検討を行ったが、どの検討でも有意差は認められなかった。 検討:今回の検討で、受精して着床期に至るまでの過程で妊娠が中断してしまう患者群においては、原因は種々のものがあると考えられるが、習慣性流産で考えられているようなHLAによる拒絶反応が原因となって引き起こされる可能性が低いことが推察された。
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