1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮筋培養細胞におけるオキシトシンによる各種情報伝達系の解析
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05771270
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
奥 正孝 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40201397)
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Keywords | プロスタグランディン / オキシトシン / ステロイドホルモン / 子宮筋培養細胞 / 脂肪酸 / 分娩 |
Research Abstract |
ヒト子宮筋収縮に関する各種情報伝達系において、oxytocin(OT)は、自らが強力な子宮筋収縮作用を有するのみならず、引き続く情報伝達系を活性化することにより、複雑な収縮制御系を形成しているものと考えられる。今回我々は、ヒト子宮筋培養細胞を用い、各種ステロイドホルモン存在下におけるOT刺激が、子宮筋細胞内における長鎖脂肪酸(FFA)遊離、ならびにPG産生にいかなる影響を及ぼすかを検討した。 1.OTによる細胞内Ca放出に対する各種ステロイドホルモンの作用 ヒト子宮筋培養細胞にCa蛍光指示薬であるFura2 AMを負荷し、妊娠末期に胎児より大量に産生されるdehydroepiandrosterone sulfate(DHAS)、ならびに陣痛発来直前より減少に転じるprogesterone(P)とともにOTを添加した結果、OTによる細胞内Ca増加は、DHAS添加群においてcontrolの約2倍にまたPにおいて約50%に抑制された。 2.OTによる細胞内脂肪酸遊離に対する各種ステロイドホルモンの作用 ヒト子宮筋培養細胞にTOとともにDAHS,P,cortisol(F)を添加した結果、細胞内arachidonic acid(AA)の遊離速度は、DAHSにより亢進され、またPにより遅延された。尚、OTによる細胞内脂肪酸の遊離が2相性を示すことを初めて確認した。 OTによるPG産生に関する検討。 先と同様、培養細胞にOTを添加し、経時的なPGE_2ならびに6ketoPGF_1 alphaの生産量を検討した結果、OTによるPGの産生は2相性を示し、第1相はDG lipase阻害剤であるRHC80267により抑制され、また第2相はPLA_2阻害剤であるQuinacrineにより抑制される事が確認された。 以上の成績は、OTと各種ステロイドホルモンの分娩発来周辺における相互協調作用を明らかにしたものと解される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森本佳子: "ヒト子宮筋培養細胞におけるオキシトシン刺激によるPGE_2._66ketoPGF_1 alpha産生能に関する検討" 日本産婦人科学会誌. 45. 559-565 (1993)
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[Publications] 藤井絵里子: "Oxytocinによるヒト子宮筋培養細胞内Ca^<2+>濃度変動ならびにoxytocin receptroに及ぼす各種ステロイドホルモンの影響とその作用" 日本産婦人科学会誌. 45. 636-642 (1993)
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[Publications] 足立 聡: "ヒト子宮筋培養細胞におけるoxytocin redeptro発現に及ぼす各種ステロイドホルモンの影響" 日本産婦人科学会誌. 45. 987-993 (1993)
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[Publications] 大月知子: "ヒト子宮筋培養細胞を用いたoxytocin刺激による長鎖不飽和脂肪酸産生機能に関する検討" 日本産婦人科学会誌. 45. 994-1000 (1993)