1993 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の高危険群の選別を志向した腫瘍マーカー測定の試み
Project/Area Number |
05771277
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 高太郎 慶應義塾大学, 医学部・産婦人科学教室, 助手 (60213039)
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Keywords | 卵巣がん検診 / 腫瘍マーカー / CA602 / CA54 / 61(CA546) / コア蛋白関連マーカー / 母核糖鎖関連マーカー / 画像診断 / スクリーニング |
Research Abstract |
1.これまでに卵巣癌の診断に用いられてきた各種の腫瘍マーカーについて,過去5年間に当院にて診療を行った62例の卵巣癌患者における血清値を測定したところ,コア蛋白関連マーカーであるCA602および母核糖鎖関連マーカーであるCA54/61(CA546)で比較的高い陽性率が得られた(カットオフ値は従来の値).またこれら腫瘍マーカーは健常女性550例において満足すべき低い偽陽性率を示した. 2.健常女性550例の血清中CA54/61およびCA602値から,それぞれ単独および二者の組み合わせについて偽陽性率がそれぞれ10%,15%,および20%になるように“暫定カットオフ値"を定めて悪性卵巣腫瘍群における陽性率を各々検討した.二者の組み合わせについて健常女性の偽陽性率が20%となる暫定カットオフ値を用いた場合,悪性卵巣腫瘍群709例のうち89%が陽性を示した.またこの暫定カットオフ値を用いたところ悪性卵巣腫瘍群のうち臨床進行期I期でも82%,組織型別では卵巣癌の主要組織型である漿液性嚢胞腺癌,粘液性嚢胞腺癌,明細胞腺癌,類内膜腺癌のいずれにおいても88%以上の高い陽性率を示した.従って卵巣癌のスクリーニングにこのカットオフ値を用いた腫瘍マーカーを応用できる可能性が示唆された.しかしこの暫定カットオフ値を用いた場合,良性卵巣腫瘍の42%および内膜症性嚢胞の75%が陽性を示し,採血のみという極めて容易でコストダウンが可能な方法である反面,一次検診法として当方法を用いる場合,二次検診では一次検診受診者の20%におよぶとみられる健常者とともに良性疾患と卵巣癌との鑑別が重要となると考えられた. 3.現在,さらに婦人科検診受診者を対象に上記マーカーの測定を実施し,データを集積しつつあり,実際に卵巣がん検診に腫瘍マーカーが有用であるか否かをプロスペクティブに検討中である.
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Research Products
(1 results)