1993 Fiscal Year Annual Research Report
電気的嗅覚検査のためのパッチ・クランプ法による基礎的研究
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05771321
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西村 俊二 神戸大学, 医学部, 助手 (60237724)
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Keywords | 嗅覚検査 / 嗅細胞 / 僧帽細胞 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
方法;ラットを断頭した後、あるいはモルモットを頚椎脱臼後断頭した後、素早く開頭して嗅裂の鼻粘膜上皮(嗅細胞)と嗅球(僧帽細胞、房飾細胞)を連続した状態で採取する。採取した組織を培養液中において、コラゲナーゼで処理したあと顕微鏡下に針によって細分していき、嗅細胞とその軸索の終止する僧帽細胞を連続した状態で単離する。これを培養組織液中に保存する。顕微鏡下に観察をおこない、嗅細胞の軸索に双極電極で電気刺激を与えて、同時に僧帽細胞にパッチクランプを行って、電気活動を観察した。また種種の嗅素を液中に投与する事によって嗅細胞を刺激し、嗅細胞や僧帽細胞にパッチクランプを行い、電気活動を記録した。 結果;嗅細胞の軸索への電気刺激によって、僧帽細胞の興奮性が変化する事が認められた。嗅細胞に嗅素を投与する事によっても、嗅覚細胞の電気的興奮が軸索を通じて僧帽細胞に伝達されることがわかった。 考察;生理的な嗅素による嗅覚刺激によって生じる嗅細胞-僧帽細胞への電気的興奮の伝達と同じ状態が、嗅細胞を電気刺激する事によっても誘発する事ができる可能性が示唆された。しかしこれらの結果にもとずいて、実際に人体に電気刺激を与えて嗅覚を生じせしめるには、多くの問題がある。たとえば人体に対した場合の刺激方法をどのようにするか?より中枢側での嗅覚の認知機構の解明する事が必要であり、至適電気刺激強度と不快電気刺激強度の範囲や、副作用と安全性についても検討する必要がある。
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