1993 Fiscal Year Annual Research Report
突発性難聴モデルにおける蝸牛回転別血流動態に関する研究
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05771357
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 美奈子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60210564)
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Keywords | 突発性難聴 / レーザードップラー血流計 / 蝸牛血流障害 / 全身低酸素 / 低温 / 蛍光染色赤血球 |
Research Abstract |
突発性難聴には蝸牛血流障害が、その原因の一つしてあげられている。しかし、その他にもいくつかの原因が考えられており、これを基礎実験で証明するためには、可能性のある原因を負荷として加えたときの蝸牛、蝸牛神経機能の変化を実際の臨床像と比較する必要があると考えられる。本年度我々は、蝸牛血流障害を惹起した場合の蝸牛、蝸牛機能の変化について聴神経活動電位と蝸牛血流の変化の比較を行った。蝸牛血流は、レーザードップラー血流計(以下、LD計)を用いて測定した。まず呼吸装置停止により全身低酸素状態とした場合、3分間の負荷には、負荷後の血流増加をもって対応し、低酸素状態によっておこる蝸牛機能障害は可逆的であるが、5分もしくは7分間の負荷では、負荷後の血流増加が認められず、蝸牛機能障害は不可逆的となった。次に、蝸牛の代謝が低下する低温状態とした場合、低温を負荷しない状態に比べ、血流の変化は有意ではないが、低酸素状態に対する抵抗性が上昇し、蝸牛機能に対し保護作用があることがわかった。低温も軽度(3度低下)より中等度(6度低下)の方が、蝸牛機能は保護されやすかった。今後は、落射蛍光装置を充実させ、LD計の測定値と、蛍光染色赤血球を用いて得られる測定値を同時比較する必要がある。また、これまでの我々の実験でLD計で得られる測定値が、投射される光の条件によって異なることがわかったため、落射蛍光装置のもとでのLD計の検討も必要になるものと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山本美奈子: "低体温下蝸牛電気反応と蝸牛血流動態" 慶應医学. 70. 465-474 (1993)
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[Publications] 山本美奈子、他: "突発性難聴高度難聴症例における前庭症状と聴力回復" Otol Jpn. 1. 54-58 (1991)
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[Publications] 神崎仁、山本美奈子: "突発性難聴および自己免疫性感音難聴のステロイド療法に関するアンケート調査" 臨床耳科. 15. 109-115 (1988)
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[Publications] 山本美奈子: "突発性難聴における聴力型と予後の関係" 臨床耳科. 16. 37-42 (1989)
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[Publications] 小川茂雄、山本美奈子、他: "蝸牛血流に対するステロイドの影響" Ear Res Jpn. 20. 319-320 (1989)
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[Publications] 小川郁、山本美奈子、他: "asphyxiaによる蝸牛血流の変化-頂回転,基底回転の血流変化について-" Ear Res Jpn. 20. 321-322 (1989)