1993 Fiscal Year Annual Research Report
実験的糖尿病動物における網膜内アミノ酸神経伝達物質
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05771384
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 明 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10241605)
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Keywords | Retina / Neurotransmitter / Diabetic rat / GABA / Immunocytochemistry / Glutamic acid decarboxylase / GABA transaminase |
Research Abstract |
我々は、糖尿病ラット網膜におけるGABA濃度増加が、ERG OP波の減弱と何等かの関係を持つ可能性を報告した。糖尿病ラット網膜のどの部位でGABAの増加が見られるかにつき、定量的免疫組織化学手法を用いて検討した。正常対照および糖尿病ラットを2.5%グルタルアルデヒドで灌流固定し、網膜をLR-ホワイトに包理、超薄切片を作成した。ウサギ抗GABA抗体を一次、金コロイド標識ヤギ抗ウサギIgG抗体を二次抗体とする免疫組織染色を行い、電子顕微鏡下20000倍で観察し、網膜の各層・各種細胞に於ける金コロイド粒子密度を算出した。GABA様免疫反応は内顆粒層、内網状層で多く見られたが、この部位で糖尿病群での有意な増減は見られなかった。糖尿病ではMuller細胞にGABA様免疫反応の増加をみたが、Amacrine細胞、Ganglion細胞では有意差は見られなかった。この方法で、糖尿病ラット網膜Muller細胞へのGABAの集積が示され、網膜内GABA濃度に対応した取り込みの亢進、あるいはGABA分解の障害を示唆する所見と思われた。さらに、GABA生成・分解酵素、Glutamate decarboxylase(GAD)とGABA Transaminase(GABA-T)が糖尿病状態でどうのような活性の変化を示すかについて以下の実験を行い結果を得た。正常対照および糖尿病ラットから網膜を採取し、1mlの0.25Mショ糖溶液中で超音波粉砕し酵素液として使用した。GAD活性についてはLoweら(1958年)、GABA-T活性についてはSalvadorら(1959年)の方法に従い、それぞれ生成されたGABAおよびSuccinic semialdehyde(SSA)を蛍光法で測定した。GAD活性は正常群で1500nmol GABA/hour/mg protein前後であるのに対し、長期間飼育した糖尿病群では約20%の増加を認めた。GABA-Tは正常群で250nmol SSA/Hour/mg proteinであるのに対し、糖尿病群では約30%から40%の減少を認めた。GABA生成/分解の割合は正常群の17%から、糖尿病群では11〜8%に低下していた。早期から活性低下の見られたGBA-TはMuller細胞、内網状層に局在するミトコンドリア酵素で、高血糖による何等かのMuller細胞の機能障害がGABAの分解抑制を引き起こし、網膜内GABA濃度増加の主たる原因と思われた。
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Research Products
(1 results)