1994 Fiscal Year Annual Research Report
ベーチェット病患者リンパ球の網膜S抗原ペプチドに対する増殖反応の検討
Project/Area Number |
05771389
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 純子 東京大学, 医学部, 助手
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Keywords | 網膜特異抗原 / ベーチェット病 / T細胞クローン |
Research Abstract |
実験動物においてぶどう膜炎を惹起する網膜特異抗原のひとつである網膜S抗原のアミノ酸配列のうち、動物モデルでは強い免疫性、病原性を持つGペプチドとMペプチドと呼ばれる部位に対する反応性を、ベーチェット病患者リンパ球について検討した。その結果、ベーチェット病患者の半数で高い反応性が見られた。次に抗原に高い反応性を示した患者のひとりからT細胞継代株を樹立した。患者は38才、男性の完全型ベーチェット病患者で、患者末梢血から分離したリンパ球をS抗原存在下にて培養し、得られたリンパ芽球を限界希釈法によりクローニングしT細胞クローンを得た。得られたT細胞クローンは4種類で、それぞれのフェノタイプはcloneナンバー2がCD4^+、Clone10がCD8^+、Clone30がCD3^+,CD4negative,CD8negative,すなわちdouble negative alphabetaTCR^+およびclone6がCD3^+,double negative、gammadeltaTCR^+であった。Clone2とClone10、すなわちCD4^+およびCD8^+T細胞クローンはS抗原に対して特異的に増殖反応を示した。Clone30とClone6はS抗原を加えても増殖しなかった。Clone2はGペプチドとMペプチドにも反応したが、その反応はやや弱かった。今後、これらT細胞クローンの他のS抗原ペプチドに対する反応性やT細胞レベルでの解析を行い、ベーチェット病の発症機序の解明に寄与できるものと期待している。
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