1993 Fiscal Year Annual Research Report
暗所閾値電位の臨床応用-錐体-杆体ジストロフィおよび糖尿病性網膜症-
Project/Area Number |
05771392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 友譲 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (10242554)
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Keywords | 暗所閾値電位 / 網膜電図 / 錐体-杆体ジストロフィ / 糖尿病網膜症 |
Research Abstract |
我々は平成4年度までに暗所閾値電位(scotopic threshold response,STR)記録装置を開発することにより、人眼STRの記録に成功し、眼底白点症、無betaリポ蛋白血症などの病眼においてその所見を検討してきた。STRは杆体系の網膜内層に由来する網膜電図(electroretinogram,ERG)の一成分であり、自覚的暗順応絶対閾値に極めて近い閾値を有する唯一のERG応答であることから、STRを指標とすれば夜盲性疾患あるいは網膜内層に障害を来たす可能性のある疾患において客観的に杆体系の網膜内層の障害の有無およびその程度を評価することが可能であると考えられる。本年度我々は錐体-杆体ジストロフィおよび糖尿病網膜症におけるSTRの所見を検討した。錐体-杆ジストロフィでは錐体の障害は必発であるが杆体の障害の程度は様々であるとされている。本症においてはこれまでERGbs波を用いて杆体系の機能の評価が行われてきたが、STRを指標として加えることにより従前の検査法では杆体系の障害ができなかった本症症例においてSTRに異常を呈する症例があることがみいだされ、本症の発症機序および病態を考察する上でSTRは非常に有用であると考えられた。糖尿病網膜症においては、STRと同じく網膜内層に由来するERG応答である律動様小波が早期より減弱あるいは消失することが当教室でみいだされ既に臨床で広く応用されている。本症においてSTR所見を検討したところ、律動様小波が正常であるのにSTRが減弱していた症例および律動様小波が減弱しているのにSTRが正常である症例がみいだされたことから、本症における網膜内層の障害には複数のパターンがあることが示唆された。(未発表)
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Research Products
(1 results)