1993 Fiscal Year Annual Research Report
小陥凹様構造物を有する細胞の動態よりみたラット顎下腺主導管上皮の機能解析
Project/Area Number |
05771496
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
松岡 孝典 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10190422)
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Keywords | 顎下腺主導管 / ferritin / 取り込み / 微細形態 / ラット |
Research Abstract |
ラット顎下腺主導管には、長い微絨毛を有し多数の管状陥凹や小陥凹様の構造物を有する細胞、短い微絨毛を有し少数の管状陥凹や小陥凹様の構造物を有する細胞 および基底細胞が混在している。これらの微絨毛と管状陥凹や小陥凹様の構造物を有する細胞の吸収能を有しているか否かを調べるために、ferritinの取り込み実験を行った。その結果、以下のような所見を得た。 (1)顎下腺主導管内にcationized ferritin(10mg/ml)を注入したところ、長い微絨毛、と短い微絨毛を有する細胞に取り込みが確認された。 (2)細胞内に取り込まれたferritinは、管状陥凹や小陥凹様の構造物の中に認められるだけでなく、多胞小体の中にも多数確認された。 (3)取り込まれたferritinは、注入後2時間以内に細胞基底部に到達していた。 (4)取り込まれたferritinは、注入後2時間で細胞間隙、また細胞基底部からの放出象がみられた。 以上の所見より、長い微絨毛を有する細胞と短い微絨毛を有する細胞の両者が吸収能を有していることが確認できた。また、一度取り込まれたferritinが細胞外に放出されるまでに要する時間は比較的短い時間だと推測される。Ferritinの細胞内径路は、細胞間隙を経由して基底膜方向へ移動する経路と細胞内を直接基底膜方向へ移動し放出される2つの経路のあることが分かった。長い微絨毛を有する細胞と短い微絨毛を有する細胞の吸収能力の差異と取り込まれてから放出されるまでの取り込み小体の形態変化については現在研究中である。
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