1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病発症における遺伝的素因:アジュバント刺激によるサイトカイン産生能との関連
Project/Area Number |
05771540
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 規之 東北大学, 歯学部・小児歯科学講座, 助手 (80241644)
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Keywords | サイトカイン / 歯周病 / コラーゲン誘導関節炎 / アジュバント / ペプチドグリカン / GM-CSF / リンホトキシン |
Research Abstract |
1.DBA/1,SWR/Jの両マウスに、アジュバント(グラム陽性菌ペプチドグリカン)腹腔投与後、3時間で摘出した肺を用いて、サイトカイン(IL-3,IL-4,G-CSF)の発現を、mRNAレベルで解析した。既に報告しているように(1992)、GM-CSFとM-CSFのmRNAは、DBA/1マウスにおいてのみ顕著な発現を示したのに対し、IL-3,IL-4,G-CSFmRNAは、どちらの系統からも検出できなかった。 2.DBA/1マウスの関節炎発症誘導過程におけるGM-CSFの役割を知ることを目的として、TypeII collagenにアジュバントを加えて一度目の刺激を加えた日から、隔日でRabbit由来抗GM-CSF抗体を投与した時の、関節炎発症をみた。その結果、通常の刺激のみのマウス群に比べて、関節炎の発症が10日ほど遅延した。 3.産生能に著しい系統差のあったサイトカインであるGM-CSFについて、その遺伝子の変異の有無を調べる為に、両マウスより染色体DNAを抽出し、Southern blottingを行った。制限酵素は、Pst-1,BamH1,Apa-1の4種類を使用して行ったが、DBA/1,SWR/Jの両マウスのGM-SCF-遺伝子の違いは、検出できなかった。さらに、塩基配列を調べ、遺伝子変異の可能性を追究してみる必要があると考えられる。 4.この関節炎モデルにおけるリンフォトキシン(LT)の効果を知るためにDBA/1マウスにLT投与後24hの脾臓単核球(SMNC)をペプチドグリカン(PG)刺激下で48h培養した。DNA合成は、LT投与していないマウスと比べて有為な差は見られなかったが、培養後の上清中のGM-CSF活性は、LT投与したマウスSMNCでは対照と比べ、わずか1/10の活性しかなかった。 以上のことから、LTとGM-CSFがコラーゲン誘導関節炎の発症に大きく関わっている可能性が示唆された。
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