1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤耐性口腔扁平上皮癌細胞におけるポリADP-リボース合成酵素活性について
Project/Area Number |
05771550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
美馬 孝至 大阪大学, 歯学部, 助手 (20239338)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌細胞 / 抗癌剤耐性機構 / ポリADP-リボース合成酵素 / 腫瘍細胞分離 |
Research Abstract |
以前より当教室では、臨床材料より分離された口腔扁平上皮癌細胞であるブレオマイシン(BLM)高感受性株(SCCKN)および低感受性株(SCCTF)について、BLMの薬剤耐性機構を解析してきた。以前の研究で、BLM作用下でのポリADP-リボース合成酵素について検討すると、SCCTFで同酵素活性は、SCCKNに比して、急速に上昇することが分っていた。今回mRNAレベルでの同酵素発現について検討したが、SCCKN・SCCTF両株ともBLM処理による著明な変化は認められなかった。 本研究に用いた両細胞株は異なる個体から分離された細胞株であった。臨床における抗癌剤耐性機構の解析においては、化学療法施行前後で同一個体から分離された細胞株において、比較検討すことがより臨床での薬剤耐性の現実を反映すると考えた。そこで本研究者は新たに、化学療法施行前後で切除された手術材料よりin vitroへの腫瘍細胞の分離を試みたところ、ヌードマウスで造腫瘍性を有し、軟寒天中でコロニー形成能を有する2種の扁平上皮癌細胞を分離培養することに成功した。新たに分離された細胞株は、ともに立方型の細胞形態を示し、細胞倍加時間、ヌードマウスでの造腫瘍性には差は無かった。臨床において使用した抗癌剤に対する感受性を検討すると、化学療法施行後に分離された細胞株では、PEPに対しては10倍、CDDPに対しては5倍感受性が低下していた。今回新たに分離培養に成功した扁平上皮癌細胞株は、抗癌剤耐性機構を解析する上で、さらに有用なモデルと考えられ、今後細胞生物学的に解析を行なう予定である。
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