1994 Fiscal Year Annual Research Report
コンポジットレジン修復時に発生する窩縁部エナメル質の微小亀裂に関する研究
Project/Area Number |
05771586
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関矢 一仁 新潟大学, 歯学部, 助手 (30240766)
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Keywords | コンポジットレジン / エナメル質微小亀裂 / 辺縁漏洩 / 接着システム |
Research Abstract |
本研究では、各種市販接着システムがエナメル質微小亀裂の発生に及ぼす影響について検討するため以下の実験を行った。【材料と方法】ヒト抜去小臼歯の唇面あるいは舌面エナメル質の中央部に、直径2mm、深さ1.5mmの象牙質に達する円筒形窩洞(#171カ-バイドバ-使用)、あるいは皿状窩洞(#440カ-バイドバ-使用)を形成した。これらを6種の接着システム、すなわちClearfil Photo Bond(以下CPBと略す)、Clearfil Liner Bond(CLB)、Clearfil Liner BondII(CLBII)、Super-Bond D Liner PLUS(SBD)、Scotchbond Multi Purpose(SMP)、XR-primer XR-bond(XRB)を用いて、各使用説明書に従い歯面処理を施した後、コンポジットレジンを充填した。光硬化後、直ちに窩縁部の仕上げ研磨を行い、0.2%フクシン水溶液中に24時間浸漬した。水洗後、実体顕微鏡下にて窩洞辺縁部のエナメル質に生じた微小亀裂を観察し、窩洞全周に対するエナメル質微小亀裂の発生頻度を求めた。さらに、各種接着システムを用いた際の、レジンとエナメル質の接合状態を走査型電子顕微鏡により観察した。【成績ならびに考察】一般に、円筒型窩洞に比べて、皿状窩洞におけるエナメル質微小亀裂の発生頻度は小さかった。円筒形窩洞では、レジンの全体量が多いため収縮量が大きいこと、また、窩縁部がエナメル小柱方向に沿って形成されているために脆いことなどが考えられた。一方、皿状窩洞では、エナメル小柱は斜断されておりレジンの全体量も前者より少なく、そのため辺縁部での収縮力が窩壁に直接大きく加わることがなかったものと考えられた。また、各種接着システムの成績を比較すると、CPBに比べて、CLB,CLBII,SBD,SMP,XRBは、エナメル質微小亀裂の発生頻度が少なかった。その理由として、後者では、エナメル質とレジンの間に介在するボンディング材が、収縮による内部ひずみを開放するための機能を果しているためと考えられた。
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