1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトIL-1beta持続投与の誘発による実験的ラット歯周炎の組織学的研究
Project/Area Number |
05771587
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大藤 泰人 新潟大学, 歯学部, 助手 (80233261)
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Keywords | IL-1beta / 持続投与 / ミニ オスモティック ポンプ / 絹糸結紮 / 実験的歯周炎モデル |
Research Abstract |
歯周組織破壊を含めた歯周炎の進行を明かにしていくため、ラット等の小動物をモデルとした実験的歯周炎に関する研究が数多く行われてきた。しかし、骨吸収を含む著明な歯周組織の破壊が認められるような歯周炎モデルを作ることは難しい。浸透圧を利用した薬剤の持続的な投与が可能となり、これを応用して、ラットの上顎臼歯に絹糸を結紮することにより引き金とし、さらにヒト リコンビナント インターリュウキン1beta(rIL-1beta)を持続投与することにより歯周炎を惹起させ実験的歯周炎モデルを作製し、歯周組織破壊を組織学的に検索した。ウィスター系雄性ラットを用い、ラット上顎第2臼歯に絹糸を結紮し、ミニ オスモティック ポンプを用いて、ポンプをラット背部皮下に埋め込むことにより、rIL-1betaの持続投与を行い、コントロール(C)としてPBSを投与した。投与期間は3、7、14日間(D3,7,14)とし、投与終了と同時に屠殺した。組織学的に、H-E、アシッドフォスファターゼ(Ac-p)染色、骨吸収部位に出現した破骨細胞を同定するため、マクロファージ、破骨細胞に特異的なモノクローナル抗体であるED-1による免疫組織染色を行った。以上の結果、(1)H-E及びAc-p染色からIL-1群では破骨細胞様の多核巨細胞が多く認められ、Ac-p陽性を示していた。(2)IL-1群ではC群と比較して、D3,7,14において絹糸直下の限局した炎症性細胞浸潤が強く認められた。(3)C群ではD3で認められた骨吸収がD7にはすでに骨の修復が始まっていたのに対して、IL-1群ではD14まで骨の吸収が認められた。(4)以上より、絹糸結紮により惹起された実験的歯周炎はヒトrIL-1betaの持続投与により骨吸収が促進され、骨の修復も遅くなる傾向が認められた。これはヒトIL-1betaによる歯周炎に伴う骨吸収の際に出現する破骨細胞を含む種々の細胞に対する直接的な作用か、またはIL-1betaにより誘導された他のサイトカインによる間接的な作用によるものと推察された。
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