1993 Fiscal Year Annual Research Report
P.endodontalisの臨床分離株による実験的根尖病変への影響
Project/Area Number |
05771656
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 正人 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (80167262)
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Keywords | ヒト感染根管 / SPFラット / P.endodontalis / 実験的根尖病変 / 免疫担当細胞 |
Research Abstract |
1.目的:根尖歯周組織炎の主な原因として細菌が挙げられるが、その中でも最近P.endodontalisに注目が集まっている。また、P.endodontalisには起炎性が弱いという報告もあり、根尖病変形成の起因菌と考えるよりも、既に形成された根尖病変の増悪や、その治癒化を遅らせる働きがあるのではないかと推測した。そこで、ヒト感染根管より分離同定したP.endodontalisを露髄解放処置により根尖病変を作成したSPFラットに感染させ、根尖周囲組織の変化を観察した。 2.結果: (1)本学附属病院を訪れた患者で、根尖歯周組織炎と診断された患歯より、グラム染色およびRapID ANA II SystemによりP.endodontalisを1株分離同定した。 (2)露髄解放処置をして2週後に、8.0×10^3 CPU/mlに調整したP.endodontalisを5日間咬合面に塗布した。その結果組織学所見では、感染後2週では、顕著ではないが対照群よりも実験群の方が炎症性細胞浸潤が多いように思われた。また、根尖病巣の大きさも実験群の方が大きかった。4週になると実験群も対照群も、炎症性細胞浸潤の程度に差がないように思われたが各々の2週に比べると共に増加していた。6週になると両群共、根尖病変の大きさは小さくなり、線維性結合組織が増え、炎症性細胞浸潤は減少した。 (3)免疫組織化学的所見では、感染後2週の実験群において、同時期の対照群よりもTリンパ球が多く確認された。また、マイクロファージとIa抗原陽性細胞も同様であった。4週になると、各細胞は増加したが、対照群との顕著な差はみられなかった。6週では、実験群、対照群共に各細胞は減少したが、どの細胞においてもやや実験群の方が細胞数が多いように思われた。今後は細菌を分離する患歯の数を増やして検討したい。
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