1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771751
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
湯本 光希子 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (50247524)
|
Keywords | ティッシュコンデショナ- / 組織学的検討 / ラット / 口蓋床 |
Research Abstract |
市販ティッシュコンデショナ-は、床下粘膜に異常を生じた症例に使用すると、炎症などの症状を改善し、正常な状態にする効果があることはすでに明らかにされている。しかし、この市販ティッシュコンデショナ-の組成は、抗炎症作用、抗菌作用のある薬剤が含まれていないことにより、炎症などの症状の改善はティッシュコンデショナ-の弾性によるものと考えられると報告した。この組成分析により、エタノールの約0.5-16%含まれており、この濃度による差は、ISO(10139-1)規格試験の 調度試験結果と、相関性が認められ、殺菌性を目的としたものでは無いと考えられる。また、市販ティッシュコンデショナ-の細胞毒性の存在が明らかにされている論文があり(N.Okita:J.P.D.66(5):656-659、1991)、これらの商品が実際に粘膜に対してどのように組織を変化させるかを検討するため、今回ラットの粘膜組織を用いて市販ティッシュコンデショナ-の抗炎作用の有無を検討するのを目的として、以下の実験をおこなった、 1、実験動物:ラット 2、実験方法:1)エチルエーテルの吸入麻酔下にてラットの鎮静を行う。2)支台歯として円錐形にラット前歯2本の形成を行う。3)Exa-Fineレギュラータイプを用いてラット口蓋部まで印象採得を行う。4)模型作成後、埋没材にて副模型を作成し、ワックスアップをおこないメタルフレームを作成する。この際、メタルフレーム内面に圧痕を起こすためのステップを幅約1mm長さ3mmの範囲で右側につける。5)この作成したメタルフレームを同ラット口腔内に、テンポラリーセメント(カルボキシレートセメント)を用いて装着。6)3日後にメタルフレームを取り外し、圧痕の確認を行う。この際、肉眼的にまた、組織学的切片においても確認を行う。 この研究の結果、圧痕により、炎症が起きていることが、肉眼的にも、組織学的にも確認された。しかし今回の研究においては、この炎症がメタルフレームのステップによるものか、それとも食物残渣によるものか、曖昧な点が多く炎症の確認のみで、ティッシュコンデショナ-への置き換えは、行わなかった。 今後、実際の患者の口腔内においてのティッシュコンデショナ-による粘膜の回復程度を超音波Bモードを使用し粘膜の厚さを測定することにより、市販ティッシュコンデショナ-による粘膜の改善程度、および市販ティッシュコンデショナ-がどのように治癒過程にたいして影響しているかを、検討していきたい。
|