1993 Fiscal Year Annual Research Report
実験的糖尿病ラット口蓋粘膜における膠原線維構築の走査電子顕微鏡的研究
Project/Area Number |
05771758
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
金林 卓哉 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90214436)
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Keywords | 糖尿病 / ラット / 口蓋粘膜 / 膠原線維構築 / 抜歯窩 |
Research Abstract |
本年度は実験動物に雌性SD系ラットを用い、1)糖尿病が口蓋粘膜の膠原線維構築に及ぼす影響、および2)糖尿病が創傷治癒過程に及ぼす影響を検索するためのデータとなる基礎的研究を行った。1)に関しては、ストレプトゾトシン(STZ)を投与することにより実験的糖尿病ラットを作製しこれを実験群とした。この実験群を一定期間飼育した後、屠殺し標本とした。対照群としては、STZを投与せず同一条件下で飼育したラットを用いた。2)に関しては歯科治療上最も一般的な創傷である抜歯窩の治癒過程を対照とし、まず正常な抜歯窩治癒過程の観察を行った。麻酔科でラットの下顎第1臼歯を抜去し、その後一定期間ごとに屠殺、標本作製を行い、抜歯窩の骨性治癒過程における石灰化と膠原線維構築の変化を観察した。観察方法としては、膠原線維のみをin vivoにおける状態を保ちつつ剖出でき、広範囲にわたって立体的、かつ広い範囲の倍率で観察できることからアルカリ-水浸軟-走査電顕法を用いた。すなわち、潅流固定と浸漬固定を行うことにより組織を充分に固定した後、室温の2Mの水酸化ナトリウム水溶液により組織を浸軟し、さらに室温の蒸留水中に置くことにより硬組織と膠原線維以外の組織成分を除去した。その後、導電染色を施し通法に従って脱水、臨界点乾燥、スパッタコーティングを行った後観察に供した。その結果、1)では実験群では口蓋粘膜が萎縮傾向を示し、なおかつ糖代謝異常の状態をかなり色濃く反映する組織構造であることを示唆する結果が得られた。2)では抜歯窩の骨性治癒過程において、石灰化の進行に伴い膠原線維構築も変化していく様相が観察された。今後は観察方法を増やしさらに詳細に検討していく予定である。
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