1993 Fiscal Year Annual Research Report
下歯槽神経血管束の構成と自律神経線維の存在について
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05771809
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
重松 久夫 明海大学, 歯学部, 助手 (70187350)
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Keywords | 下歯槽神経 / アセチルコリンエステラーゼ / カテコールアミン / CGRP |
Research Abstract |
下歯槽神経血管束の構成を検討する目的にて、HRP法を適用すると共に、交感神経に関してはアミン蛍光法を、副交感神経に関してはコリンの間接的な証明としてアセチルコリンエステラーゼ(AChE)染色を、また、知覚神経繊維に関連して、Calcitonin gene related peptide(CGRP)抗体を用いた免疫組織化学を応用した。さらに、神経節切除実験を行い、各染色所見を比較検討した。SD系ラットにてHRP法の下歯槽神経への適用により三叉神経節、耳神経節にHRPの取り込みを確認し得たが、上けい神経節への取り込みは確認し得なかった。また、AcidGA法での検討では、下歯槽動脈周囲にアミン蛍光所見を認めたが、下歯槽神経束内に明らかな陽性所見はみられなかった。AChE染色では、下歯槽動脈周囲に陽性所見を確認すると共に、下歯槽神経束内にも散在性にAChE陽性所見を確認し得、同反応所見は歯根膜、下唇粘膜部の血管周囲にも認められた。CGRP染色では、三叉神経節、下歯槽神経に陽性所見を認めた。下唇部では粘膜直下の自由神経終末並びに一部血管にも陽性所見を認めた。上けい神経節切除で、動脈周囲のアミン蛍光所見の消失を確認し、耳神経切除により上記AChE陽性所見の消失を確認した。また、上けい神経節の切除・耳神経節の切除により、CGRP様反応所見にはなんら変化はみられなかった。以上の結果よりラット下歯槽神経血管束では、CGRP含有知覚神経繊維はもとより、上けい神経節由来の交感神経繊維は動脈周囲を主体として、耳神経節由来の副交感神経繊維は動脈周囲並びに神経束内に含まれるものと結論した。一方、ラットでは、AChE反応は動脈周囲ではラビットと同様の所見を呈していたが、下歯槽神経束内では同様の散在性反応のほか、より強い反応が偏在して確認された。 本研究の要旨は、第48回日本口腔科学会総会(大分1994年4月)並びに、VIIth Meeting/The International Association of Oral Pathologists(July 1994 YORK)において発表し、投稿予定である。
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