1993 Fiscal Year Annual Research Report
舌初期癌における浸潤様式についての免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
05771834
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
栃原 しほみ 鶴見大学, 歯学部, 助手 (30247340)
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Keywords | Immunohistochemistry / laminin / PCNA / Fibronectin 18FA05:oral sguamous cell carcinoma |
Research Abstract |
発癌過程における、前癌病変と初期癌の細胞動態や細胞の性質の変化を知る目的で免疫組織学的検討を行なった。舌初期浸潤癌11例と舌白板症12例のパラフィン包埋切片について、細胞の増殖能の指標として注目されているPCNA,基底膜構成成分であるLaminin、細胞の固着、移動に関与しているといわれるFibronectinの各特異抗体を用い、Strepto-ABC法にて検討した。 PCNAは、白板症では、上皮基底細胞からその上2〜3層の傍基底細胞核に陽性反応を認めた。癌では主に胞巣周縁部の細胞核に比較的多くの陽性反応を示し、特に小胞巣、あるいは細長く延長した上皮脚様の部位には、陽性細胞が集中する傾向が見られた。PCNAは、腫瘍の細胞増殖のマーカーとして有用と思われたが、標本固定法の問題や、cell cycleにおける特異性に対する問題などが最近示唆されており、これらを含め、染色態度について、その評価を検討している。 Lamininは、正常上皮、白板症、癌と接する領域を含め上皮性異形成の程度にかかわらず、上皮基底部と結合織との境界部に明瞭な連続する線状の反応として認めた。炎症性細胞浸潤を認める部の一部で、微小な反応消失部を認めた。初期癌では、胞巣の形成が不明瞭で個々の細胞が離開している部位、あるいは延長した上皮脚様部位の先端で、不明瞭化や、断裂、消失を認めた。しかしLaminin消失部の割合は、陽性反応の全長に対しては少なく、また、明かに増殖の強い部分に消失を認めるということはなかった。癌は基底膜を破壊して増殖するにもかかわらず、浸潤胞巣において基底膜成分であるLamininの合成を認める部位と消失を認める部位の存在することは、興味ある所見である。 Fibronectinについては、固定法を含め現在検討中である。
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