1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771863
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
三木 利彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (20239205)
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Keywords | 有限要素法 / 弾塑性挙動 / loop |
Research Abstract |
歯科矯正治療において用いられるloopの力学的性質に関しては、従来より実験的にloopの弾性挙動についてしか調べられていない。そこで、本研究においては、弾塑性解析の有限要素法を用いることによりloopの弾塑性挙動について調べた。今回の解析に用いたloopは矯正治療において用いられる基本的形態を有するVertical loop、Tear drop loopおよびT loopの3種類についての弾塑性挙動を解析した。その結果、以下のような知見が得られた。 1.Vertical loopおよびTear drop loopともにloopの高さに関係なくloop頂上部分より塑性変形挙動を開始し、次いでloop起始部、そしてloop全体が塑性変形した。また、T loopにおいては、loop水平部の中央部において塑性変形挙動を開始、次いでloop水平端部、次いでloop起始部、そしてloop全体が塑性変形した。 2.loopの高さが塑性変形挙動に及ぼす影響に関しては、いずれのloopにおいてもloopの高さが小さくなる程、塑性挙動を開始する荷重が大きくなった。また、loopの高さの及ぼす影響はVertical loop、Tear drop loopおよびT loopの順に小さくなった。 今後の研究課題としては、loopの時間に依存した挙動、すなわち、loopの粘弾性挙動について調べる必要があると考えられる。矯正治療における歯牙移動においては、各歯牙移動に対して最適矯正力を用いることが生体組織に及ぼす為害作用が少なく理想的である。しかしながら、従来のloopに関する最適矯正力の問題に関しては、loopの弾性挙動についてしか調べられておらず、時間を加味した研究をする必要がある。そこで、今後は実験的に矯正治療において用いられるloopの挙動について最適矯正力との問題とも関連させloopの粘弾性挙動について調べていく予定である。
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