1993 Fiscal Year Annual Research Report
酵母のビタミンB_1代謝に関わる2つの酵素の精製と生化学的解明
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05780021
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
川崎 祐子 同志社女子大学, 家政学部, 講師 (30195078)
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Keywords | 酵母 / ビタミンB_1(チアミン) / Thキナーゼ / TMPピロホスホリラーゼ |
Research Abstract |
酵母の増殖はビタミンB_1生合成を阻害する2-アミノヒドロキシエチルチアゾール(NH_2-Th)により阻害される。このNH_2-Thに対する耐性変異株(ATR4)を分離したところ、その粗抽出液中のThキナーゼ(EC2.7.1.50)とチアミン-リン酸ピロホスホリラーゼ(TMP-PPase,EC2.5.1.3)の活性が共に著しく低下しており、遺伝解析により本変異が単一の核性遺伝子の劣性変異であることを確認した。そこで、両酵素の同一性を検討するため親株(IFO 10483)より精製を試みた結果、DEAE、ヒドロキシアパタイト、ゲル濾過クロマトグラフィーの各段階にわたって両酵素が共精製され、最終標品の比活精度はThキナーゼで1445倍、TMP-PPaseで1890倍に上昇した。精製酵素はSDS-PAGE上ほぼ均一のバンド(60kDa)を示し、ゲル濾過法による分子質量(470kDa)より同一のサブユニットから成る8量体の機能酵素であることが推定された。酵母のTMP-PPaseの精製はすでになされているが(Leder,1970)、Thキナーゼについては今回が初めての報告となる。 本精製酵母の至適pHはThキナーゼで9.1、TMP-PPaseで7.7であった。Thキナーゼ活性のKm値はThに対して5.7muM、ATPに対して0.79mM、NH_2-Thに対するKi値は2.1muMと測定された。Thキナーゼ反応のヌクレオチドおよび2価金属イオンに対する要求性は、それぞれ比較的広い特異性を示したものの、生理的条件下においてはATPとMg^<2+>が反応に関わっていることが推定された。また本精製酵素の安定性については、pH7.5で50℃30分の過熱処理により両酵素活性の失活の程度に差はみられなかった。
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Research Products
(1 results)