1994 Fiscal Year Annual Research Report
骨-筋標本による力発揮特性の検討-その1.関節角度、筋の長さと“筋力"の関係-
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05780049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古屋 かおる 東京大学, 教養学部, 助手 (10209190)
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Keywords | 骨-筋モデル / 関節角度-筋力関係 / 筋の長さ-張力関係 |
Research Abstract |
縫工筋を対象としたカエルの骨-筋標本による筋力測定システムを開発した。骨盤-大腿骨-脛骨を関節包を傷つけない形で股関節/膝関節を保存し、坐骨結合、脛骨部への腱付着を残した骨-筋標本を作成した。縫工筋以外の筋は全て切除した。骨盤をステンレスワイヤーにて装置に固定し、大腿骨・脛骨は、それぞれトランスデューサに接続した。筋刺激方法および電極の設置方法を、間接刺激・直接刺激の2種類について検討した。間接刺激では、標本の支配神経の分布を保存し、フック型のAg:AgCl電極により坐骨神経に電気刺激を加えた。直接刺激では、プラチナ板を水槽底面および縫工筋直上に設置した。筋を95%O_2-5%CO_2を通気したRinger液槽へ浸し、0.5〜5.0ms幅の最大上電圧による50ppsでの矩形波を与え、等尺性強縮を誘発した。トランスデューサで検出した力信号は、ストレインアンプで増幅後、A/D変換処理を行いコンピュータに取り込んで収縮特性を解析した。さらに同標本から摘出した筋からlength-tension関係を求めた。 骨-筋標本において得られた生体内筋長は、摘出筋実験によって求めた至適長の90〜115%(他筋切除前)、85〜110%(他筋除去後)の範囲内であった。股関節角度を90度に固定し筋関節角度を30度〜170度(180度=完全伸展位)で変化させ、各2〜3回ずつ収縮を誘発した。同じ関節角度での連続した収縮では完全に同一な力波形が得られた。大腿骨、脛骨で記録された力波形は同期せず、前者の方が力立上がりが大きく、最大力に至るまでの時間も短かった。両者の関節角度-筋力曲線も完全には一致しなかった。関節角度によっては、後者で収縮開始の遅れも認められ、特に膝関節のゆるみによる力伝達の干渉が推察される。また、条件によって力波形のovershootも認められ、同システムにおけるより精度の高い関節角度の設定と関節の固定法をさらに検討する必要がある。
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