1993 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴法による遅発性筋痛の解析と鍼治効作用の検討
Project/Area Number |
05780100
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
片山 憲史 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (10177404)
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Keywords | MRI / 鍼治療 / 筋痛 / 遅発性筋痛 / スポーツ |
Research Abstract |
遅発性筋痛に対する鍼治効作用を言及する目的で以下のことを行った。 1.遅発性筋痛モデル開発:健康な被験者14名(対照群8名、鍼治療郡6名)を対称として、種々の運動様式を行わせた結果、バドミントンを遅発性筋痛モデルとした。しかし、運動負荷は仕事量として定量はできなかった。 2.1H-MRI測定:1.5ステラのMRI装置を用い、運動前後の経時的なSE、IR、T1、T2計算画像測定を行い肘関節より6.5cm遠位の前腕の横断画像を得た。安静時の測定後、約2時間のバドミントンによる運動負荷を行った。鍼治療郡は運動負荷直後に2Hzの低周波置鍼療法を10分間行った。鍼の挿入は腕橈骨筋の筋腹部2か所で距離は5cmとし、治療直後より経時的(24時間ごとに8日間)にMRI測定を行った。対照群は鍼治療を行わない無処置とした。また、動作時痛、圧痛などの程度を5段階化したスコアを用い、MRI所見と自覚症状の関係を検討した。運動前後の画像の変化はROIにて領域設定し、コンピューター処理にて緩和時間として数値化し、データ解析した。 3.遅発性筋痛に対する鍼治療効果の検討:鍼治療郡では、T1、T2緩和時間は運動負荷直後より徐々に延長し、約12時間後にピークに達した。運動負荷後96時間でほぼ安静時の値に戻ったが、対照群に比較して早期に運動負荷後の緩和時間のピークに達し、さらに自覚症状も早期に消退した。また、主観的な遅発性筋痛の程度と緩和時間変化はよく一致し、バドミントンは遅発性筋痛モデルとして妥当であったと考えられた。以上の結果より遅発性筋痛に対し鍼治療が有効であることが示唆され、これまで主観的な症状が中心であった遅発性筋痛を画像の変化として、可視化、定量化(緩和時間値)が可能であった。今後、ブラジキニンなどの発痛物質を同定し、遅発性筋痛の作用機序の言及をしたいと考える(平成6年度科研費奨励研究Aを申請中)。
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