1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05780119
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Research Institution | Saga Women's Junior College |
Principal Investigator |
久木野 憲司 佐賀女子短期大学, 生活学科, 助教授 (20214934)
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Keywords | カルシウム / 骨代謝 / 骨粗鬆症 / タンパク栄養 / 運動 |
Research Abstract |
高齢化の進んでいるわが国では老人の重要な骨折原因であり「寝たきり老人」や「痴呆老人」の原因ともなる骨粗鬆症の増加が社会的に懸念されてきている。骨粗鬆症の予防のために適度な運動とカルシウムの摂取に心掛けることが各方面の研究者から推奨されているが、骨形成と栄養との関係については不明な点が多く、いまだ効果的な予防対策方法は確立していない。本研究では、栄養素のバランスある摂取がカルシウムの骨形成を助けるのではないかとの予想から、蛋白質摂取レベルと自発運動下における骨形成との関係をラット用いた動物実験にて検討した。その結果、摂取タンパク質のレベルに関わらず運動群のヒラメ筋重量は非運動群の値よりも有意に高く、低強度の運動と言われる自発運動であっても運動の効果が得られることが確認された。大腿骨の長さは、運動群と非運動群の間には違いは見られなかった一方で、通常あるいはそれ以上のタンパク摂取群では運動群が非運動群よりも有意に高い値を示した。また、総体的に骨重量と骨強度は極めて高い相関を示しており、運動による骨重量の増加は骨強度を支える緻密質の増加を示しているものと推察された。本実験の結果より、比較的軽度の運動であると思われる自発的運動であっても長期間の運動の継続は骨の形成や強度ならびに筋の発達を促して体組成を変化させるといった運動効果が期待可能であり、また一方、このような運動効果の発現を期待するためには十分なタンパク栄養の摂取など個体の栄養状態が良好であることが重要であろうことが示唆された。
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