1993 Fiscal Year Annual Research Report
中性リン脂質リポソーム表面のリン脂質分子の会合状態に与える外部環境の効果
Project/Area Number |
05780654
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
牧野 公子 東京理科大学, 薬学部・製薬学科, 助手 (40147509)
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Keywords | 電位泳動移動度 / 中性リン脂質リポソーム / 電子スピン共鳴 / 相転移 / 制御放出 / 会合状態 |
Research Abstract |
我々は、pH7.4のリン酸緩衝液中に中性リン脂質リポソームを分散して種々の温度やイオン強度において電気泳動移動度を測定した。中性リン脂質としてDMPC、DPPC、DSPCを用いた。中性リン脂質リポソームがpH7.4のリン酸緩衝液中で示すゼータ電位の値が0でなく、かつイオン強度や温度に依存して変化することを見出し、モデルを用いた解析からリポソーム表面において脂質分子の頭部が温度とイオン強度に依存してどのように運動するかを評価した。外部環境に応答した中性リン脂質リポソーム表面の脂質分子の頭部の運動性についてゼータ電位の値は一つの情報を与える可能性を示したが、モデルの妥当性を調べるために、リポソーム表面の脂質分子の会合状態、運動性に与える外部環境の効果を評価した。プローブとして5-SLSと16-SLSをリポソーム中に埋入してリポソームを調製し、pH7.4のリン酸緩衝液中に分散後、リン脂質の相転移温度の前後でESR測定を行い、オーダーパラメーターを算出した。その結果、5-SLSラベル化DPPCリポソームのオーダーパラメーターが相転移温度以下で0.43であるのに対して相転移温度以上では0.36まで低下し、運動性が低下することが示された。本研究ではこのようなリポソームに対する基礎研究を行うと同時に、リポソーム内部に薬物を封入してその制御放出を行うことを試み、リポソームの内部から外部への溶質の放出速度がリン脂質の相転移温度で最大になり、又、リポソーム表面をヒアルロン酸又はカルボキシメチルセルロースでコートすると内部からの薬物放出が著しく抑制されることが見出された。これらの高分子補強リポソーム中の5-SLSと16-SLSのオーダーパラメーターは5-SLSの方が16-SLSよりも高分子補強によって増加し、このことから高分子補強の効果は表面状態を変化させることによるものと考察した。(以上、投稿準備中)
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