1994 Fiscal Year Annual Research Report
地域における在日朝鮮・韓国人の祭りとエスニック・アイデンティティ強化に関する研究
Project/Area Number |
05801042
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Research Institution | RITSUMEIKAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江口 信清 立命館大学, 文学部, 教授 (90185108)
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Keywords | 在日韓国・朝鮮人 / エスニック・アイデンティティ / 祭り |
Research Abstract |
本研究の目的は、一つには民族の新たな祭りが朝鮮・韓国人にとって社会・文化的に、そして精神的にどのような意味を持つのかという点を実証することにあった。在日朝鮮・韓国人の多く場合、戦前から明瞭な根拠もなく社会的差別を被ってきた。今日、彼らの多くが日本で生まれた二、三世、あるいは四世の世代になり、地域の日本人と共に教育を受け、育ってきた。彼らの多くは日本が母国であるという意識を持つ一方で、社会的差別を受け、これまで自分たちの父祖伝来の文化や自分たちに対して否定的なイメージしか持てなかった。そういう彼らが、朝鮮・韓国の民族的な祭りを日本人も含む地域の中で実施することを通じて韓国・朝鮮人でもなく、日本人でもない「在日」としてのエスニック・アイデンティティを「再建させ」、自分たちのプライドを持ち、プラスの自己像をもち始めてきた。民族的な祭りは「在日」としてのアイデンティティのより所になり、学習することによって習得されていき、彼らのとくに子供の世代の文化として根付き始めている。東京荒川区の「荒川ノリマダン」、川崎市の「桜本プンムルノリ」、京都東九条地域の「東九条マダン」、大阪生野区の「生野民族文化祭」、そして福岡市の「三・一文化祭」には上に述べたような「在日」としてアイデンティティが確立されていくという共通点だけでなく、その他の多くの共通点、そして違いが地域の特殊性を反映して見られる。今後、在日韓国・朝鮮人の民族イメージの形成について日本人側と韓国・朝鮮人側から考察していきたい。
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