1993 Fiscal Year Annual Research Report
イスラム法における国際法的規範(イスラム諸国の国際的な行動の実証的分析を通じて)
Project/Area Number |
05802005
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
古賀 幸久 久留米大学, 法学部, 助教授 (60258374)
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Keywords | イスラム法 / イスラム国際法 / イスラム経済法 |
Research Abstract |
本研究では、伝統的な国際法におけるイスラム国際法の位置付けについて、国際連合やイスラム国際機関、イスラム諸国の動きを通じて解明することが目的である。現在はその一段階として、イスラム法の重要な原理であるイスラム経済法の理念が、イスラム諸国の中でどの程度の国際法的性格をもち、今後のイスラム国際法の原理として展開される可能性があるのかについて検討している。 具体的には先駆的なイスラム政策を実施しているパキスタンにおけるイスラム経済政策の実態について分析をしている。ここでは、1991年にパキスタン連邦裁判所イスラム法廷が、すべての利子を違法として廃止するように求めた判決内容の分析を通じて、イスラム経済法の今後の国家的展開の行方について見極めようとするものである。このことは、イスラム経済法の理念が、イスラム諸国の共通の実践的原理として妥当するものかどうか、また、同時にイスラム国際法の重要な指針として展開されるものであるかどうかを探ることでもある。 研究の対象資料としては、判決内容、判決に関する公文書、学者・政治家・財界人・実務家などの有識者により作成された関連資料、書籍及びインタビュー内容、イスラム国際機関の各種機関紙などを取り揃えて調査分析を実施している。さらに、今後、未入手のものも多数取り揃えて、これまで同様に、調査・分析を継続していく必要がある。現在は、対外国取引方式の現状と行方(国内と国際の区別)、判決の問題点(観念性)、判決内容の実現可能性(感情的な消極性)、国内・国際社会の反応(批判性)などについて分析を行い、イスラム化政策の現状・限界、今後の展開などをみる。
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Research Products
(1 results)