1993 Fiscal Year Annual Research Report
英国ヴィクトリア前期コヴェントリーのリボン織工争議における政治経済学
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05803002
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
島岡 光一 埼玉大学, 教育学部・社会科教育講座, 教授 (10008716)
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Keywords | コベントリー / C.ブレイ / J.S.ミル / リボン産業 / 政治経済学 |
Research Abstract |
1、ブリティッシュ・ライブラリーよりコベントリー・ヘラルド紙マイクロフィルム1824-1870年を10月に入荷。これにもとづきマイクロリーダーを購入して、ヘッドラインのデーターベースを作成するため大学院生・学生対象に講習会をもち何回かに分けて集中的に作業をさせた。三月下旬段階で、1851年頃まで作業が進んでいる。 2、C.ブレイの独自の「共産主義」(1848年)がコベントリー・ヘラルド紙に連載された。この論文は同年の「政治経済学原理」の大成者J.S.ミル批判を含んでおり、1850年のコベントリー・リボン織物工のゼネストのなかで争われる諸々のイデオロギーが総括的に含まれている。ブレイ自身そのゼネストで中心的な役割を果たしている。本年度は日本ではほとんど研究が行われていないブレイ論文の邦訳とその公表の準備に大きな努力が払われた。またブレイの自伝やいくつかの著作の読解も行った。 3、研究者が1987-8年にかけて収集した数百点の論文・資料のバックアップとデーターベース化を院生、学生にさせた。また京都大学にあるラスキンやモリスの貴重な文献のコピーを行い池上淳教授からの大きな示唆を得た。 4、ティラツー博士(ウォーリック大学)やサービー博士(バーミンガム大学)の未公刊の博士論文を、前者の訳出作業の下訳を院生にさせている。後者に関しては研究者自身が読解に当たっている。本研究の中心をなすゼネストは、100年以上前の事件であり、かつ地方的な事件であり、リボン産業そのものがすでにコベントリーでは絶滅しており、日本ではほとんど研究が行われていないことから、ティラツー博士の直接の助言を必要としたので、頻繁に電話、ファックス、手紙のやりとりを行った。 5、ようやく各種データー・ベースが完成され、主要文献の読解と下訳が終了し、細部・周辺部分にかんする多くの専門家の助言を取り込みを計りつつ秋の学会発表に向けて、かつ3年後のミラノの国際経済史学会により包括的な報告ができるよう鋭意努力中である。
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