1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05804032
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園田 高明 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (90108770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宏 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10037731)
|
Keywords | フェニルカチオン / 共役安定化機構 / 構造と反応性 / 置換基効果 |
Research Abstract |
本研究は合成化学上極めて重要な活性中間種であるフェニルカチオンのメタ位置換基による新しい共役安定化機構の本質を解明するための基礎的研究であり、本年度はつぎのような研究結果が得られた。 1.メタ位に種々の置換基を有するフェニルカチオンの構造最適化計算を半経験的および非経験的分子軌道法を用いて行ったところ、メタ位に電子供与性の置換基を持つフェニルカチオンほど安定で平面から捩れた構造を持つことが明らかとなった。メタ位置換フェニルカチオンは芳香族安定化に必要な"平面構造"をとるよりも、メタ位置換基と陽イオン中心部位との間の直接的な共役安定化に必要な"非平面構造"をとることによってより安定なエネルギー状態を取り得ることを意味するものと考察した。 2.メタ位にオキシド基やアミノ基を有するフェニルトリフラート誘導体を合成し、これらの化合物の含フッ素アルコールHFIP中での加溶媒分解反応がフェニルカチオンを経由するS_N1反応で進行することを実験で確かめた。 3.芳香族塩化物やトリフラート誘導体の光加溶媒分解反応において、通常のアルコール中とは異なり、含フッ素アルコール中でアリールカチオンを中間体とする反応がアリールラジカルを中間体とする反応よりも優先的に進行することが明らかとなった。またこの場合にもメタ位の電子供与性置換基によるフェニルカチオンの安定化効果が顕著であることが実験的に確かめられた。 これらの結果は第65日本化学会春季年会(1993年4月東京)、第2回ラテンアメリカ物理有機化学国際会議(同4月アルゼンチン・コルドバ)、第4回物理有機化学九州国際会議(同10月福岡)、第43回有機反応化学討論会(同11月京都)、および第67日化春季年会(1994年3月東京)において講演発表した。
|