1994 Fiscal Year Annual Research Report
核膜と細胞質微小管の間に出現するクロスブリッジ構造の分析
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05804051
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
鮫島 正純 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 超微形態研究部門, 研究員 (90142653)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 微小管 / 核 |
Research Abstract |
細胞分化に係わるシグナル伝達が開始される細胞性粘菌の集合期には、核と微小管をつなげるクロスブリッジ構造が出現することから、微小管関連蛋白質の分析法を応用して、この構造を構成する分子の検索を目指した。 1.大量の細胞上清を用いてSDS-PAGEで分析したところ、約42、72、75、95、220、280kDおよびそれ以上の一つの高分子成分が検出されるようになった。 2.昨年度のウェスタンブロッティング分析に加えて、部分アミノ酸配列分析でも42kD成分がアクチンであることが確認された。また95kDの部分アミノ酸配列は、細胞性粘菌のアクチニンと一致していた。しかしアクチンが微小管に直接結合することは知られていない。そこで免疫-ネガティブ染色法で検討したところ、抗アクチン抗体のシグナルは微小管に直接ではなく、末端部に結合した構造に検出された。これが+端であれば、膜直下における微小管とアクチン繊維の関係の観点から興味が持たれるので、今後検討したい。 3.75kDの部分アミノ酸配列は、この蛋白質が未知のものあるらしいことを示していた。 4.280kDバンドから得られたポリペプタイドの幾つかのアミノ酸配列は、ヒトケラチンと一致していた。このバンドは再現性良く検出され、しかも分子量もケラチンとは異なることから、単なるヒト成分の混入とは考えにくいので、他のポリペプタイドの分析を継続している。 5.72、220kDおよび高分子成分については量が少ないため、まだ十分な情報が得られていない。 6.現段階ではクロスブリッジ構造分子を確定するにいたっていないが、今後さらに各成分のアミノ酸配列に基づいて抗体を作成し、細胞内分布を確認することによりその同定ができるものと予測している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Kishi: "Differential interference microscopy of intranuclear actin rods in Dictyostelium discoideum spores." Cytologia. 59. 453-460 (1994)
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[Publications] T.Sudha: "Abnormal integrity of nucleolus associated with cell cycle arrest due to the temperature-sensitive ubiquitin-activating enzyme El." Chromosome Research. in press.