1993 Fiscal Year Annual Research Report
炎症時のαマクログログリン-肥満細胞トリプターゼ複合体の機能
Project/Area Number |
05807011
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻 明彦 徳島大学, 工学部, 助教授 (20155360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長宗 秀明 徳島大学, 工学部, 助手 (40189163)
松田 佳子 徳島大学, 工学部, 教授 (40035449)
|
Keywords | 炎症 / α_1-マクログロブリン / α_2-マクログロブリン / 肥満細胞 / プロテアーゼ / トリプターゼ / サイトカイン / 成長因子 |
Research Abstract |
α-マクログロブリンは分子量約70万の血清タンパクで,全てのタイプのプロテアーゼを阻害する高分子量プロテアーゼインヒビターである。α-マクログロブリンはプロテアーゼと結合すると,その立体構造が変化し,細胞膜上のレセプターによりエンドサイトーシスされ,リソゾーム内で分解される。また,α-マクログロブリンはプロテアーゼ共存下で種々のサイトカインと結合することが知られている。本研究では,実際にin vivoでリソゾームにエンドサイトーシスされたα-マクログロブリン-プロテアーゼ複合体を正常ラット,及び炎症ラット(完全アジュバンド注射により作製)の肝臓より分離精製しその構造解析より,α-マクログロブリンとサイトカインの生体内での作用の解明を行った。 正常ラット肝より分離されたα-マクログロブリン-プロテアーゼ複合体は,酵素学的性質及び免疫学的性質により,肥満細胞(マストセル)由来のトリプターゼを主成分として含有していることが明らかとなった。ラット血液中には,2種類のα_1-,α_2-マクログロブリンが含まれるが,複合体の構成をしているのはα_1-マクログロブリンであった。次に実験的にα_2-マクログロブリンを誘導した炎症ラットの肝によりα-マクログロブリン-プロテアーゼ複合体を分離し,正常ラットの複合体と比較したが,同様にα_1-マクログロブリンとトリプターゼの複合体であった。しかし,炎症ラットでは複合体中のトリプターゼ活性が増加していた。肥満細胞はトリプターゼ以外に,種々のサイトカイン類を分泌しており,これらの結果はα-マクログロブリンがトリプターゼの共存下種々のサイトカイン類の結合タンパクとして機能している可能性を示した。これらの結果はBiochemical.Journal,298,79-85(1994)に発表した。
|
Research Products
(1 results)