1993 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニンGroEの形態形成機構に関する構造研究
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05808062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10127277)
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Keywords | シャペロニン / GroE / 結晶化 / GroEL |
Research Abstract |
本年度は、大腸菌シャペロニンGroE会合体の二つの構成成分であるGroEL(hsp60)とGroESのそれぞれの会合様式をX線結晶解析により明らかにするために各成分毎に単離・精製し結晶化を試みた。GroELはかなりの純度で精製できたが、GroESはSDSゲル電気泳動で分子量の異なる数本のバンドが観察された。案の定、GroESの単結晶は得られなかった。この理由が、あまり純度の良くないためであるからか或いは元々結晶化しにくい性質のためであるのか分からない。いづれにしても試料の純度を向上させる必要があるものと思われる。一方、GroELは、結晶が得られるかも知れないという期待を抱かせる程度に試料の純度も良く、15% PEG4000を沈澱剤とするハンギングドロップ蒸気拡散法により形の違った二種類の結晶(Type 1、Type 2)が得られた。この時、結晶化温度は最初一定期間4℃に保った後に25℃に変更してゆっくり結晶が成長するようにした。Type 1の結晶は、一辺が0.2mmのサイコロ状結晶で、沈澱剤を含む50mM酢酸緩衝液(pH 5.5)に対して1.5%蛋白質を含む溶液ドロップを3〜6ヶ月かけて蒸気平衡化させて得られた。この場合、一つの結晶化ドロップ中に限られた数(通常2〜3個)の結晶がアモルファス状蛋白質沈澱物と共に析出してきた。またType 2の結晶は、同じ濃度の沈澱剤を含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)に対して0.65%蛋白質を含む溶液ドロップを3〜6ヶ月かけて蒸気平衡化させて得られた。これは、板状結晶およびそれが細長く成長した棒状結晶が同じドロップ中に数多く析出する状態で得られ、板状結晶の大きさは、0.2×0.3×0.05mm程度であった。高エネルギー物理学研究所放射光実験施設において放射光から得られる単色X線をType 2の板状結晶の平板方向に当てると5A分解能までの回折像が得られた。
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