1993 Fiscal Year Annual Research Report
酸素依存性短寿命突然変異体への酸素耐性遺伝子の導入による寿命解析
Project/Area Number |
05834015
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石井 直明 東海大学, 医学部・分子生命科学, 講師 (60096196)
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Keywords | 酸素 / 寿命 / C.エレガンス(C.elegans) / 酸素耐性遺伝子 / 突然変異体 |
Research Abstract |
今年度は線虫、C.エレガンスの酸素感受性突然変異体であるmev-1の遺伝子のクローニングを試みた。この突然変異体は、酸素毒に対する防御機構の1つの酵素である銅/亜鉛を含むスーパーオキサイドデスムターゼ(銅/亜鉛SOD)の活性が野性株の半分しか見られないが、銅/亜鉛SOD遺伝子は他の染色体上に存在することが知られており、このmev-1遺伝子はこの酵素の活性を調節するものと思われた。しかしながら最近、このmev-1遺伝子と同じ位置にもこのSOD遺伝子が存在することが判明し、mev-1遺伝子がSOD遺伝子そのものである可能性が出てきた。この2つのSOD遺伝子はアミノ酸のレベルで約50%の類似性を示した。すでに判明している銅/亜鉛SOD遺伝子は他の生物で見いだされているSODと同じもので、ヒトとC.エレガンスの間で約50%の類似性を示している。RT-PCR法により野生株mev-1におけるmRNAの発現量をしてみると、両者に違いは見られなかった。今回見いだされたSODはヒトとの類似性は50%であったが、その類似を示す位置はすでに判明しているSODとは異なっていた。現在、この新たに見つかったSOD遺伝子の発現量を調べている。またこの遺伝子をmev-1に導入し、酸素に対する感受性を調べることにより、mev-1遺伝子とこのSOD遺伝子が同一であるかを調べると共に、寿命の変化を調べる系を作成している。 これらの結果から他の生物にも2つの銅/亜鉛SODを持つことが考えられ、1つと信じられてきた銅/亜鉛SODの発現、と調節の機構を考え直す必要が出てきた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Shuji HONDA: "Oxygen dependent perturbation of life span and aging rate in the nematode" Journal of Gerontology:Biological Sciences. 48. B57-B61 (1993)
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[Publications] Naoaki ISHII: "The radiation-sensitire motant rad-8 of Caenorhabditis elegans is hypersensitive to the effects of oxygen on aging and development." Mechanisms of Ageing and Development. 68. 1-10 (1993)
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[Publications] Naoaki ISHII: "Rapid accumolation of fluoroscent material with aging in an oxygen-sensitive mutant mer-1 of Caenorhabditis elegans." Journal of Gerontology:Biological Sciences. in press. (1993)
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[Publications] 石井直明: "老化研究のための実験動物,C.エレガンス遺伝学的解折から酸素と老化の関係を探る" 活性酸素フリーラジカル(メディカルレビュー社). 4. 353-361 (1993)
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[Publications] 石井直明: "C.エレガンスの遺伝学的研究から老化を考える" 放射線生物研究. 28. 14-24 (1993)
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[Publications] 石井直明: "老化と老化を支配する遺伝子" 老化と疾患(医薬ジャーナル). 6. 30-37 (1993)
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[Publications] 石井直明: "老化のメカニズムと制御" 藤本大三郎, (1993)