1995 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡出土イルカ骨の計測値と非計測的形質による個体別分析
Project/Area Number |
05835013
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
平口 哲夫 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (50097440)
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Keywords | 個体別分析 / タフォノミー / 動物考古学 / 動物遺体 / 捕鯨 / イルカ漁 / 縄文時代 / 真脇遺跡 |
Research Abstract |
1.平成6年度に引き続き,真脇遺跡出土イルカ骨を分析対象として、頭蓋骨と第1頚椎、および頭蓋骨と下顎骨との個体関係を検討するための基準作業を行なったが、破損標本における欠損値、ならびに骨化の進んでいない若い個体の頭蓋骨復元に伴う誤差が予想以上に大きな障害となり、これらの部位については当研究期間内に個体別分析を完了することはできなかった。 2.椎骨連結資料については、現生カマイルカ標本だけでなく現生マイルカ標本の計測値を加えること、ならびに椎板と椎体との融合程度を連結資料の大別に用いるのではなく頚椎から尾椎までの連続的変化として捉えることによって、従来よりも合理的な個体別分析を実現することができた。ただし、同一個体関係にある資料がきわめて少ないという結果に変わりはない。 3.左右上腕骨のペア・マッチングについては、同一個体関係にある資料がきわめて少ないという結果をどのように解釈するかが大きな問題として残されているが、沖縄県名護町におけるイルカの背鰭・尾鰭・胸鰭の利用例をもとに、イルカの手根骨・中手骨・指骨の出土率が上腕骨・橈骨・尺骨に比べて著しく低い点について、サンプリング・エラー以外にも解釈の余地があることを指摘することができた。 4.遺跡出土イルカ骨全体の個体別分析はすぐには実現することができないにしても、上腕骨や椎骨連結資料の個体別分析結果によれば、同一個体関係にある資料はいずれも近接した位置関係にあることから、発掘グリッドにおける平面分布で把握されたイルカ骨集中単位ごとに個体別分析を進めることが当面優先的に行うべき作業であるといえる。
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Research Products
(1 results)