1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835017
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Research Institution | Sakuyo Junior College |
Principal Investigator |
馬淵 久夫 作陽短期大学, 音楽科, 教授 (30011498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 化学研究室長 (40082812)
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Keywords | 三角縁神獣鏡 / 〓製鏡 / 鉛同位体比 / 青銅 |
Research Abstract |
平成6年度は、近畿地方出土鏡中で、2種類の重要な資料の鉛同位体比を測定した。 (1)「青龍三年(AD 235年)」銘・方格規矩四神鏡 本年度最大の研究成果は、平成6年初頭に発掘され、3月18日に新聞発表された京都府大田南5号墳(峰山町とや弥栄町にまたがる)出土の「青龍三年」銘鏡である。三角縁神獣鏡を魏鏡としない考古学者の多くが、この鏡については魏鏡ないし卑弥呼の鏡の一つと見做しているので、三角縁神獣鏡の鉛同位体比を考察するときの魏鏡の標準になる。 4月23日、馬淵と平尾は宮津市にある京都府立丹後郷土資料館で錆試料を入手し、鉛同位体比を測定した。その結果は、すでに出土している「景初三年(AD 239年)」銘鏡(三角縁神獣鏡1面、画文帯神獣鏡1面)、「景初四年(AD 240年)」銘鏡(龍虎鏡2面同笵)、「正始元年(AD 240年)」銘鏡(三角縁神獣鏡3面同笵)のすべてと類似の数値をとることがわかった。これら紀年鏡は「舶載」三角縁神獣鏡の分布範囲と一致している。 (2)椿井大塚山古墳出土鏡 多数の「舶載」三角縁神獣鏡が出土したことで著名なこの1群の鏡は、1980年頃、山崎一雄らによって測定されているが、誤差が大きく、他のデータと比較できないので、新たに試料を入手して再測定した。29面の三角縁神獣鏡の正確で高精度のデータが得られた。また、「青龍三年」銘鏡に類似の方格規矩四神鏡が含まれているが、この鉛同位体比も「舶載」三角縁神獣鏡の分布範囲に入ることがわかった。 これら2種類のデータは〓製鏡に関するものではないが、本研究にとって極めて重要な意味をもっている。総合的な考察は平成7年度(最終年度)の報告書で行う。
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