1993 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の指先の力と触感覚の発達状況と器用さの関連について
Project/Area Number |
05851046
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Research Institution | Yamaguchi College of Arts |
Principal Investigator |
佐藤 智朗 山口芸術短期大学, 講師 (40205943)
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Keywords | 指先の力 / 触感覚 / 器用さ / 視覚優先型 / 直接的体験 |
Research Abstract |
幼稚園2園(公立1私立1)、保育園4園(公立4)において、3〜5歳児の約350名を対象に調査を行なった。器用さに関するアンケートは、保育者に回答を依頼したが、2園については保護者の回答となった。指先の力と触感覚についての実験調査は、各園で一人ずつ直接行なった。 器用さについてのアンケートでは、紐結びや折り紙の成就率が低く、特に蝶結びができる男の子は、ほとんどいなかった。紐や紙が身近にありながら、子ども達の生活に、結び付いていないためだと考えられる。また、保育園の子どもは、幼稚園の子どもに比べて、優れた結果が出たのも、生活の質と量の違いに関係していると考えられる。 紙の厚みを指先を使って感じ分ける実験では、年齢が低いほど、見た目で判断する視覚優先型の子どもが多く、年齢が上がるに連れて、紙の弾力で判断するようになる。実際に指先を使って正確に感じ分けることができた子どもはわずかであった。紙を破る(千切る)実験では、紙目に沿えば3歳児でも、ある程度の厚さの紙まで破ることができるが、紙目に逆らい、線に沿って千切ることは、指先の力が十分でないことと左右の手のバランスが悪いために、ほとんどの子どもができなかった。年齢が上がるに連れて、千切ることができる紙の厚みは増すが、3歳児同様、上手に千切ることができない子どもも見られた。 器用さと指先の力や触感覚の発達について、明確な相関関係を証明することはできなかった。しかし、指先の力や触感覚が発達している子どもは総じて、器用であると保育者が評価している。直接的体験の質や量を高めていけるような生活を保障すると共に、指先だけの発達を促すのではなく、身体全体のバランスのよい発達と、興味や意欲の啓発に努めることで、器用な子どもを育てることができると確信する。
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Research Products
(1 results)