1993 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光エネルギー変換機能を有する新規異種金属多核錯体の合成
Project/Area Number |
05854065
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
酒井 健 成蹊大学, 工学部, 助手 (30235105)
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Keywords | 太陽光エネルギー変換 / 光増感触媒 / 異種金属多核錯体 / ルテニウム / 白金 / 水素生成触媒 |
Research Abstract |
本研究では、人工光合成モデルとして著名なEDTA/Ru(bpy)_3^<2+>/メチルビオローゲン/白金コロイド系をヒントに、光増感剤であるRu(bpy)_3^<2+>と水素生成触媒として有効な白金(II)二核錯体を錯体化学的に連結し、より有効な反応系を「光分子デバイス」として実現することを目的としている。今回はその一環とし、ルテニウムと白金原子を連結する架橋配位子(B)としてbpym(2,2′‐bipyrimidine),bppz(2,5‐bis(2‐pyridyl)pyrazine)に着眼し、[(bpy)_2Ru^<II>(mu‐B)Pt^<II>(L)_2]^<4+>(L=NH_3,Cl‐,etc.)や[(bpy)_2Ru^<II>(mu‐B)Pt^<II>(mu‐OH)]_2^<6+>(B=bpym,bppz,etc.)の合成を試みた。まず第一に、配位子であるbpymとbppzの合成法に改良を加えることができた。次に、目的物を合成する前駆体として[Ru^<II>(bpy)_2(B)](NO_3)_2を合成したが、これらは既知の方法を参照した。これに種々の白金単核錯体を反応させ、Ru(II)Pt(II)二核錯体の合成を試みた。cis‐[Pt(NH_3)_2(OH_2)_2]^<2+>との反応では、予想に反し、目的物は得られなかった。他方、K_2PtCl_4との反応では[(bpy)_2Ru^<II>(mu‐B)Pt^<II>(Cl)_2](NO_3)_2を得ることができた。次に得られたRu(II)Pt(II)二核錯体を2倍等量の硝酸銀と反応させると、AgClが析出し、ヒドロキソ架橋白金(II)二核骨格を有する[(bpy)_2Ru^<II>(mu‐B)Pt^<II>(mu‐OH)]_2(NO_3)_6を得ることができた。化合物の同定は、主に元素分析に頼った。これらの複核錯体は良好な結晶を与えず、結晶構造の決定には至らなかった。しかし、吸収スペクトル及び電気化学的性質から各錯体の生成を確認することができた。最後に、EDTAの存在下でこれら複核錯体に可視光を照射し、ガス分析を行なった。手動誤差のない再現性のよい実験データを収集するために、今回購入した物品を用いて自動分析システムを開発し、用いた。残念ながら期待した活性はほとんど認められなかったが、このシステムにより迅速かつ正確なガス分析が可能となったので今後の研究の展開に期待されたい。
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