1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05857029
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
岩田 仁 愛知県がんセンター, 病理学第一部, 研究員 (50250246)
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Keywords | マーカー遺伝子 / トランスフェクション / ルイス肺癌 / 転移 |
Research Abstract |
転移性細胞にマーカー遺伝子として種々の酵素遺伝子を導入することにより、酵素組織化学、PCR法を併用して転移細胞の微小転移形成過程、血中動態を半定量的に解析することが可能となる。本研究では転移モデルとしてマウス・ルイス肺癌由来高・低転移株を用い、これにマーカー遺伝子を導入し、以下の諸点を明らかにした。1)癌細胞へのマーカー遺伝子の導入;異なったプロモーターを有する2種類の発現ベクター(pRSV,pCMV)に組み込まれた大腸菌、LacZ遺伝子を大腸菌中で増幅、プラスミドDNAを精製した。リポフェクチン法により精製プラスミドを高・低転移細胞にトランスフェクションし、betaガラクトシターゼ活性の発現の強いクローンを数回の限界希釈法の後、各々数個づつ分離した。これらのクローンは基質存在下で青色の反応産物を産生し、個細胞で容易に識別可能であり、数十代の継代にても安定した形質を発現する。2)転移モデルを用いたin vivo解析;これらの遺伝子導入細胞を同系マウス皮下に接種し、生体内における遺伝子発現の安定性、増殖、転移に及ぼす影響を検討中である。現在までに得られた結果では、遺伝子導入細胞は生体内においても安定した遺伝子発現を示し、酵素組織染色により肺の微小転移巣も青色の結節として肉眼的に識別可能であった。現在メタクリレート樹脂包理により微小転移巣形成過程を組織レベルで解析中であり、二次転移巣形成における高・低転移細胞の差異を今後明らかにしてゆく予定である。一方、細胞に導入した発現ベクター中にはマーカー遺伝子とともにネオマイシン耐性遺伝子が組み込まれており、この遺伝子内にプライマーを設定することによりPCR法によって少数個の転移細胞を検出できる方法を開発した。これにより転移細胞の血中動態の検索が可能となったので、担癌マウスの血液を経時的に採取し、転移細胞の血中への移行時期、高・低転移細胞の血中動態の差異を今後明らかにしてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)