1993 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌におけるIL‐6産生機構の検討-IL‐1による産生誘導
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05857058
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
幸田 弘信 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40241434)
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Keywords | 肝癌細胞 / Interleukin‐6 / Interleukin‐1 |
Research Abstract |
近年、原発性肝癌や転移性肝癌患者の血清IL‐6増加が報告され、肝癌の進展や転移の予後因子としてIL-6が注目されている。さらに、肝硬変例でも血中IL-6の増加が報告されていることから、肝癌の発生にもIL‐6が関与している可能性が考えられる。我々は、既に、ヒト肝癌細胞のIL‐6産生能を検討し、ヒト肝癌細胞にはIL‐6を産生するものが存在することを明かにした。しかも、これらの肝癌細胞株にはheterogeneityがあり、持続性に産生するもの、IL‐1によて産生が誘導されるもの、さらに産生されないものの3つのタイプに分けられることを指摘した。今回、各種肝癌細胞内のIL‐6mRNAの発現をNorthern blot法により検討した。IL‐1添加によりIL‐6の産生誘導がみられるhuH‐1,huH‐7,Chang cellはそのIL‐6の産生量に応じてIL‐6mRNAの発現が誘導された。IL‐1無添加でIL‐6を持続産生しているHLEはIL‐1無添加でもわずかにIL‐6mRNAの発現を認めたが、産生量の少ないHLFでは無添加でIL‐6mRNAの発現はみられなかった。さらに、HLEおよびHLFはIL‐1添加により著名なIL‐6産生がみられるとともに産生量に応じてIL‐6mRNAの発現誘導が認められた。このことから、ヒト肝癌細胞においてIL‐1がIL‐6産生を誘導する際、その産生量に応じてIL‐6mRNAの発現が誘導されており、IL‐1によるIL‐6産生誘導は主に転写レベルで調節されていると考えられた。このIL‐1によるIL‐6産生誘導は多くの肝癌細胞株でみられており、肝癌におけるIL‐6産生・分泌調節にはIL‐1が重要な役割を果たしていると考えられる。次にIL‐1がIL‐1 receptorに下都合し、IL‐6が産生されるまでの細胞内シグナル伝達について検討した。IL‐6の持続産生がみられるHLEとHLFはTPA添加によりIL‐6産生が誘導されるのに対し、IL‐1添加でIL‐6産生誘導されたhuH‐1,huH‐7,Chang cellはTPAによる産生誘導はみられない。このことから、IL‐6の持続産生はprotein kinaseCを介する経路の異常が関与していると考えられた。さらに、IL‐1によるIL‐6産生にはprotein kinaseC以外のpathwayが存在することが示唆された。
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Research Products
(1 results)