1993 Fiscal Year Annual Research Report
担癌門脈区域壊死硬化療法の適応拡大の為の新しい肝予備能評価法の研究
Project/Area Number |
05857059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千田 信之 東北大学, 医学部, 助手 (50240669)
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Keywords | 慢性肝疾患 / 運動負荷 / 肝血流量 / ICG / ケトン体比 |
Research Abstract |
現在までのところ、新しい肝予備能の評価方法の確立を目的に下記の実験を行った。 実験方法;慢性肝疾患患者に十分量のグルコースを点滴にて投与した後に、ICGを持続点滴しICGクリアランスメーターを用いて平衡状態に達したことを確認する。次いでケトン体比を測定するための動脈採血とドプラ超音波診断装置にて門脈本幹にて血流速度を計測し門脈径から血流量を計算する。その後、血圧、心拍数を確認し心電図をモニターしながらエルゴメーターにて臥位のまま運動負荷を行う。運動負荷量は被検者の心拍数がターゲット ハートレートに達する量とし、運動負荷中の肝血流量の変化をICGクリアランスメーターにて観察し、負荷終了直後の門脈血流量をドプラ超音波診断装置にて計測する。さらに直後の血圧、心拍数の測定と運動負荷後のケトン体比の測定を行う。 実験結果;現在までに当科に入院した4例の肝硬変症例に上記の運動負荷テストを行った。十分な結果の解析はなされていないが、4例にてターゲット ハートレート内での運動負荷は、血中のICG値を低下させ、ドプラ超音波検査にて門脈血流速度を増加させ、血流量を増加させた。また、運動負荷前後のケトン体比は著名に改善していた。 考案;ターゲット ハートレート内での運動負荷は、心拍出量を増加させ、肝臓の血流量を増やすと考えられ、血流量の増加に伴いケトン体比は改善し肝臓の機能は好転するものと考えられた。運動後の安静はさらに血流量を増加させることから、ターゲット ハートレート内での運動とその後の安静は、代償期の慢性肝疾患管理に有用な方法であることが示唆された。 今後、負荷量と負荷時間を増やしてさらに詳細に検討する予定でいる。
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