1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05857070
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
笠原 慶太 昭和大学, 医学部, 助手 (60161006)
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Keywords | IL-8 / MCP-1 / 結核 / 慢性炎症 |
Research Abstract |
炎症は大別すると、急性炎症と慢性炎症に分けることができる。急性炎症は一般細菌感染に代表され、その初期より多数の好中球の浸潤を特徴とする。一方、慢性炎症は、結核菌感染に代表され、その初期には好中球の浸潤を認めるが、炎症の形成とともに単核細胞浸潤優位に変化していく。この様な炎症細胞の出現・消失は、局所におけるサイトカインの産生により制御されていると考えられる。申請者は、急性炎症と慢性炎症の相違を明らかにするため、グラム陰性菌由来のLPSと結核菌死菌、結核菌由来のPPD、MDPにより単球を刺激し、そのサイトカインの産生様式の相違をみた。IL-1、TNFはいずれの刺激においても、比較的早期に産生された(mRNAにて、刺激より1〜2時間後)。好中球走化性因子のIL-8は、やはりいずれの刺激においても早期に産生されたが、LPSによる刺激は結核菌由来物資に比して、強くIL-8の産生をひきおこした。一方、単球走化性因子のMCP-1は、LPS刺激によってはほとんど認められず、結核菌由来物資の刺激によりIL-8産生に約20時間遅れ(mRHAの測定上)認められた。また、IL-8、MCP-1タンパクレベルにおいても、同様の結果であった(平成5年第33回胸部疾患学会総会、第43回アレルギー学会総会発表、投稿中)。これらの結果は、次のことを示唆する。「急性・慢性炎症ともその初期の好中球浸潤にはIL-8が関与するが、急性炎症ではこれが強く時間的にも長く認められる。一方、慢性炎症ではIL-8による好中球浸潤は初期に認めるが、時間とともにMCP-1が産生され、単球/マクロファージの浸潤が優位に局所に出現する。」この様に、局所におけるサイトカイン産生を知ることにより、それぞれの炎症の特徴、炎症細胞浸潤の種類、経時的変化を説明することができる。それぞれの炎症の成立機序・特徴を正確に把握することにより、炎症の種類・時期により、的確な治療が行える様になると思われる。
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