1993 Fiscal Year Annual Research Report
胸部下行大動脈遮断時の脊髄血流に関する研究-特に末梢側遮断のおよぼす影響について
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05857135
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岡本 光明 和歌山県立医科大学, 高度集中治療センター, 助手 (40254552)
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Keywords | 胸部下行大動脈手術 / 大動脈遮断 / 脊髄障害 / 末梢側遮断 |
Research Abstract |
6頭の雑種犬(平均10.3±1.4kg)を用いて研究計画に沿った手術を行った。そしてコントロール時をC、中枢側遮断時をP、末梢側遮断として、横隔膜直上の胸部大動脈の遮断を加えたものをP+D_1、胸部大動脈の末梢側遮断の代わりに、腎動脈分岐部直下の腹部大動脈の遮断を行ったものをP+D_2とし、両方の遮断解除時をRとした。 遮断中の中枢側および末梢側の平均血圧をmAP_<prox>,mAP_<dist>とし、その遮断間の平均血圧をmAP_<seg>とすると、mAP_<prox>は中枢側遮断時に有意に増加し、遮断解除により減少した。mAP_<dist>は中枢側遮断により有意に減少し、胸部末梢側遮断によりさらに減少し、遮断解除により増加した。mAP_<seg>は胸部末梢側遮断で有意に増加し、腹部末梢側遮断で有意に減少した(図1)。脊髄組織血流は頸髄では経過中血流変化に有意差はなかったが、胸髄では中枢側遮断時に有意な血流の減少がみられ、胸部末梢側遮断により増加した。腰髄では中枢側遮断時に脊髄組織血流の有意な減少がみられ、腹部末梢側遮断により増加がみられた(図2)。肋間動脈血流は大動脈から流出する血流を正の方向とすると、中枢側遮断により血流は逆流して負の方向となり、胸部末梢側遮断により逆流は減少し、腹部末梢側遮断によりまた逆流は増加した(図3)。 [結語]胸部大動脈の中枢側遮断に胸部末梢側遮断を加えると、胸髄の組織血流は増え、胸部末梢側遮断を腹部末梢側遮断にすると腰髄の組織血流は増える。この時中枢側遮断で逆流していた肋間動脈血流は胸部末梢側遮断で逆流が減少し、腹部末梢側遮断では再び増加した。
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