1993 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍浸潤リンパ球に於けるT細胞抗原レセプターの分子遺伝子学的解析
Project/Area Number |
05857143
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
江波戸 通昌 順天堂大学, 医学部, 助手 (20185135)
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Keywords | T細胞抗原レセプター / 腫瘍浸潤リンパ球 / 悪性グリオーマ / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1)グリオーマの手術標本からT細胞クローンを確立することに関しては、キラー活性などの機能解析に必要な数までのT細胞の増殖が得られていない。 2)悪性脳腫瘍浸潤リンパ球に於けるT細胞抗原レセプターa,bk鎖のレパートリー解析。グリオーマの手術標本よりRT-PCR法、Southernblottingを用いて行った。Valphaで18、Vbetaで22種類のレパートリーの中で制限された(2-8種)もののみ発現するrestrectedusageと特定の物が優位に発現するpredominantusageが認められた。12例中predominantusageとしては、alpha鎖ではValpha7とValpha13が6例に、beta鎖ではVbeta13.1が9例に発現した。3腫瘍浸潤T細胞抗原レセプターの遺伝子構造(塩基配列)の検討。PCRで作成したTCRのDNAをBluescriptをvecterとし、TG1をcompitentcellとしてtransformationを行い、dideoxy法にてSequencingを施行した。7例中のVbeta13.1のV-D-J-Cの塩基配列を求めた。個々の症例ごとの、また各症例に渡る共通の遺伝子配列が認められた。これに対して末梢血リンパ球(PBL)ではVbeta13.1を有するTCRのV-D-J-Cの塩基配列はrandomeで、TILとは異なったパターンを示した。比較のためにTILで発現頻度の低かったVbeta3,Vbeta5.1についても同様に塩基配列を求めたが、塩基配列は、randomedであった。Valpha7を持つT cellのsequenceingでは、TILではVbeta13.1で認められたような各症例に渡る共通配列は認められなかったが、個々の症例ごとに共通の配列を持つTILのclonalityがより明かとなり、Vbeta13.1で認められた共通配列の存在からT細胞抗原レセプターからみた悪性グリオーマにおける共通な腫瘍関連抗源の存在の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ebato M,Nitta T,Yagita H,Sato K and Okmura K: "Skewed Distribution of TCR Va-7 bearing T Cells within Tumor-infiltrating Lymphocyte of HLA-A-24(9)-positive Patients with Malignant Glioma" Immunology Letters. 39. 53-64 (1994)
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[Publications] 江波戸通昌、新田泰三、八木田秀夫、佐藤潔、奥村康: "悪性グリオーマ浸潤リンパ球T細胞レセプターの分子生物学的分析" 神経免疫研究. 5. 265-269 (1993)