1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞を 用いての脳腫瘍培養上清中の増殖因子の検討
Project/Area Number |
05857145
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小畑 仁司 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20234809)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 血管内皮細胞増殖因子 / 脳腫瘍培養株 |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍にみられる血管内皮細胞増殖に注目し、腫瘍組織から放出される腫瘍血管増生因子(TAF;tumor angiogenesis factor)に関する検討をおこなった。ヒト脳腫瘍細胞の培養上清をヒト臍帯静脈内細胞(HUVEC)(製造元:クラボウ、発売元:三光純薬)に加えた実験系を作製し、HUVECの増殖をもって増殖因子活性を判定した。脳腫瘍は、当教室で現在培養している神経膠芽腫細胞をもちいた。この系により、培養脳腫瘍細胞が血管内皮細胞増殖因子を放出していることが証明された。次に、この実験系をもちいて、カルシウム拮抗薬の血管内皮細胞増殖因子に対する影響を検討した。カルシウム拮抗剤であるNicardipine、およびDiltiazemをHUVECまたは腫瘍細胞に加えると、10^<-6>M以上の高濃度では、両者ともに増殖抑制をもたらした。HUVECに腫瘍細胞培養上清液を1/10の濃度で加え、そこにカルシウム拮抗薬を10^<-6>M、10^<-8>Mの濃度になるように加えると、HUVECの増殖抑制がみられた。また、腫瘍細胞の培養液中にカルシウム拮抗薬を加え培養し、その上清液を一度除去して、新たな培養液で培養した上清液をHUVECに加えると、HUVECの増殖抑制を認めた。このことから、カルシウム拮抗薬は、腫瘍細胞からの血管内皮細胞増殖因子放出を阻害し、かつその作用も抑制するものと考えられた。 今後は同様の実験系をもちい、ステロイドホルモンの血管内皮細胞増殖因子に対する作用の検討、そしてヌードマウスをもちいて、これらのin vivoにおける検証実験を行う予定である。
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