1993 Fiscal Year Annual Research Report
Chemieal sensitivity(化学過敏症)における自律神経機能および免疫能の評価
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05857192
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
辻澤 宇彦 北里大学, 医学部, 助手 (00188541)
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Keywords | Chemical Sensitivity / 化学過敏症 / 不定愁訴 / 自律神経障害 / 免疫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大気、飲料水、食物の中に日常的に含まれる微量化学物質に生体が反応し非特異的症状を呈するChemieal Sensitivityの存在を確かめ、その自律神経異常、免疫異常を他覚的に評価することで、米国テキサス州のEnvironmental Health Center-Dallasとの共同研究として行われている。昨年度は、正常ボランティアと不定愁訴外来通院者を比較し、化学物質の検出率(芳香蔟炭化水素80%、塩素系炭化水素50%、脂肪蔟炭化水素40%)には有意差がなかったものの、不定愁訴群ではそれらの化学物質の希釈液による皮内テストで63%の者が陽性を示し正常ボランティア群の7%に比し有意な過敏性が示され、また赤外線電子瞳孔計による自律神経機能検査によって、不定愁訴群では約50% に交感神経の高位中枢の機能障害に起因すると思われる縮瞳傾向を示すとの結果を得た。 本年度はChemical Sensitivityのもう一つの側面である免疫能の評価を中心に行なった。不定愁訴群を対象に血清補体価、免疫グロブリン(IgM,IgG,IgE),リンパ球サブセットの測定を行なったところ血清補体価34±5単位、免疫グロブリンIgM 183±63mg/dl,IgG 1376± 282mg/dl,IgE 230IU/ml、リンパ球サブセットCD3 49.2±6.4%,CD4 28.8±7.5%, CD5 72± 10.7%, CD8 33±5.5%といずれも正常範以内の値であったが、CD4/8比のみが0_073±0_026と正常範以内ながら低値を示した。個々の症例でCD4/8 比を検討したところCD4すなわち Helper-Tcellの減少にもとずくHelper/Suppressor比の低下という結果が得られた。なお、不定愁訴群のうち自律神経機能障害を有する者とそうでない者のCD4/8比には有意差を認めなかった。
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