1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05857209
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
笠井 昭彦 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (40214283)
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Keywords | IN VITRO / ヒト歯髄組織 / 酵素活性 / ヒドロコルチゾン / サリチル酸ナトリウム |
Research Abstract |
抗炎症作用を有する生薬を歯科薬剤として応用する為にIN VITROでの細胞の反応を観察した。既存の作用が明確な抗炎症薬を被験材料とし基準となる実験を行った。抗炎症薬として水溶性ヒドロコルチゾンおよびサリチル酸ナトリウムを選択し、標的細胞はヒト歯髓組織から採取した線維芽細胞を培養し実験に供した。 観察項目は、細胞形態の変化および酵素活性(酸性phosphatase、アルカリ性phosphataseおよび乳酸脱水素酵素)の変動とした。細胞形態の観察は光学顕微鏡下で行った。 細胞形態の変化 水溶性ヒドロコルチゾンおよびサリチル酸ナトリウムの作用濃度は、50mg/mlから10倍希釈とした。5mg/mlの濃度では、細胞死の像を示した。0,5mg/mlの濃度を作用させた場合、細胞の分裂増殖が抑制され、完成した単層に変化は観察されなかった。対照は、血清を添加しない培養液で培養した。 酵素活性の変動 実験に供した細胞世代数は、7および10世代である。薬剤の作用濃度は、形態観察の結果から0,5mg/mlとした。対照は、血清を添加しない培養液で培養し、測定に使用した。酸性phosphataseおよび乳酸脱水素酵素を測定した結果、7および10世代ともに対照と比較して両薬剤ともほぼ同じか抑制された値となった。アルカリ性phosphataseは対照と比較して水溶性ヒドロコルチゾンを作用させた7世代細胞の場合明らかに高い値を示した。10世代では対照の値とほぼ同じか抑制された結果となった。サリチル酸ナトリウムを作用させた場合、細胞はほぼ同じか抑制された値を示した。 以上のことから、水溶性ヒドロコルチゾンをある濃度でヒト歯髄由来の細胞に作用させた場合、増殖機能の低下がみられても代謝機能の変動は存続し続ける可能性が示唆された。 これからの計画として、抗炎症薬での基準実験をさらに増加させ、それらの値を参考に抗炎症性を有する生薬での実験を行う予定である。
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