1993 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経刺激による胃逃走神経活動および消化管ホルモンに及ぼす影響
Project/Area Number |
05857235
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
林 直樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (30208623)
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Keywords | 三叉神経刺激 / 胃迷走神経活動 / 消化管ホルモン / 三叉迷走神経反射 |
Research Abstract |
口腔内手術は,他領域より嘔吐発生頻度が高いことや胃液分泌亢進が起こるとされている.その機序については,神経系や消化管ホルモンの関与が推測されるが未だ明らかでない.臨床麻酔の安全性を向上させるための基礎的知見を得ることを目的として口腔内刺激が胃迷走神経活動および消化管ホルモン分泌に及ぼす影響を神経生理学的および血液化学的手法により検討した. 方法:ウイスター系ラットを用いて,全身麻酔下で胃迷走神経幹を露出させ,ポリグラフ下で神経インパルスを観察しながら電気刺激装置を用いて10分間の歯髄刺激を行ない,口腔内刺激に対する胃迷走神経の興奮波を観察記録した.そして,体液性胃液分泌に関与する中枢性ホルモン(プロラクチン),消化管ホルモン(ガストリン,セクレチン)の分泌に与える影響を検索した. 結果:口腔内での三叉神経刺激により,体液性胃液分泌に関与する中枢性ホルモンのプロラクチンは,対照値0.83±0.12ng/mlが10分間の歯髄刺激後,16.92±3.15ng/ml.消化管ホルモンのガストリンは,対照値177.6±20.5pg/mlが10分間の歯髄刺激後,230.4±48.6pg/ml.セクレチンは,対照値115.4±35.6pg/mlが10分間の歯髄刺激後,864.4±56.3pg/mlとそれぞれ上昇が認められた. 以上の結果より,全身麻酔下においても,口腔内三叉神経刺激により胃迷走神経活動および消化管ホルモン分泌を活発化させ,胃液分泌亢進が示唆される結果となった.
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