1993 Fiscal Year Annual Research Report
血栓形成過程を阻害するキノコ培養液からの有効成分の分離・精製
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05858007
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
家本 敦子 (小川 敦子) 武庫川女子大学, 家政学部・食物学科, 助手
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Keywords | basidiomycetes / blood coagulation / proteinase inhibitor |
Research Abstract |
特に血液凝固系を強く阻害する成分を含む野性種のキノコ(W0008)について実験を行った。最適培養条件は2%マルトエキスにキノコ菌糸を植菌し、25℃の培養室で2週間振とう培養を行ったものであった。本実験の試料は、この培養液を0.22mumフィルターで濾過し菌糸を除去したものを用いた。本培養液はAPTT、PT、TTをいずれも延長させた。培養液を37℃〜80℃に加温し、経時的にAPTT、PT、TTを測定した結果、特に80℃の加温により凝固時間が延長した。保存条件についても室温、4℃-20℃における保存条件を調べた結果、いずれも安定であったが、特に室温保存は経日的に活性が上昇した。またエバポレーターによる減圧濃縮(50℃〜60℃加温)を行っても活性は低下しなかった。以上の結果より、熱に安定でトロンビン活性を阻害する物質が含まれていた。次に有効成分の単離・精製を目的としてSxphadex G-15カラムを用いてゲル濾過を行った。各フラクションについて260nmと280nmの吸収とTTを測定した。その結果それぞれの吸収と抗トロンビン活性が一致するピークを得た。この画分を酢酸エチルで抽出することにより、色素などの不純物を除去することができた。この抽出画分はTTを延長させると共にトロンビンのアミド分解(S-2238)活性を阻害した。この濃縮物についてShim-pack LCL-ODSカラムを用いて高速液体クロマトグラフィーを行い、260nmに吸収を示す数種のピークを得た。各フラクションについてトロンビンのS-2238分解に対する阻害活性を測定した結果、260nmの吸収と一致する所に2つのピークを得た。 現在、このピークについて、均一性ならびにProteinaseに対する影響、吸収等を検討中である。 1993年9月4日 兵庫出血・血栓研究会発表 「血液凝固・線溶系に対するきのこ培養液の影響」 1993年10月8日 日本農芸化学会関西支部大会発表 「担子菌の培養液による血液凝固・線溶系に対する影響」
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