2005 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮半島ルートによる現代人文化の拡散に関する先史考古学的研究
Project/Area Number |
05F05016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM J.-B. 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 先史学 / 考古学 / 剥片尖頭器 / 石器技術形態 |
Research Abstract |
朝鮮半島における先史文化の様子を調べることにより、日本列島における現代人の拡散過程を追うことができる。そのために人類の移動を追う上で、科学的なデータを提供している石材の移動ルートを調べる作業と先史時代の人類の道具製作体系を分析してみた。 石材の移動がものの移動である反面、石器の分布は石器製作技術の進化、すなわちヒトの進化の道を考える上で重要な資料を提供している。また、石器には当時の人々の生活様子が表れているため、石器を調べるということは先史時代における人々の生活を復元する上で不可欠である。日本列島と朝鮮半島から出土した石器から、上に述べたような人類の進化の過程と技術的な因果関係が見られた。 九州地域に多く見られる剥片尖頭器が朝鮮半島にも多く見られる。両者は技術形態学的に強い結びがあり、影響している。朝鮮半島出土剥片尖頭器は時間的には3万年を前後とする出現時期が予想される反面、九州地域から出土した剥片尖頭器火山灰の生成年代の理化学的な分析から2.5万年を越さない。従って、朝鮮半島から剥片尖頭器が九州地域に伝播したと言うことがいえる。さらに、両地域の関係を考える上で、ものの移動という面から考えてみた。先史時代におけるものの移動には、石器生産に欠かせない材料である良質の石材の移動追うことは、黒曜石の理化学的な分析により産地同定作業を行うことにより可能である。産地同定には、肉眼による同定と科学的な分析である蛍光X線分析がある。そのような分析からは石器の移動裏付ける確信を得ることが出来る。現在、そのために基礎になる朝鮮半島と九州地域出土黒曜石の出土事例を分析している。しかしながら、朝鮮半島と九州地域の黒曜石が密接な関係を持つようになったのは新石器時代である縄文時代になってからで、旧石器時代における黒曜石の移動は、その例がまだないのである。
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Research Products
(5 results)