2005 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける出生力行動の変容とその社会経済的決定要因
Project/Area Number |
05F05025
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARYAL Nabin 一橋大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 人口学 / 出生力 / 死亡率 / 家族計画 / 南アジア / ネパール / 民族.カースト / 人口政策 |
Research Abstract |
平成17年度の南アジアにおける出生力行動の変容とその社会経済的決定要因の研究は、主にミクロレベルのアプローチで進めて来た。本年度の研究の成果は、1,南アジアの出生力に与える乳児死亡経験の有無の影響力と2,出生力の近接要因である家族計画受入れの決定要因の分析、の大きく二つに分けられる。先ず第1に、南アジアの出生力行動の主要な決定要因として女性の子供を亡くした経験があることが明らかとなった。ネパールで行ったミクロ調査に基づく研究によって、乳児死亡の経験が必要以上の出生力につながっており、乳児死亡の改善が出生力低下に効果があるという結論を得た。この研究は、2005年10月に出版された学術雑誌「南アジア研究」の第16号に、"Child Loss Experience and its Effect on Fertility : A case study of two ethnic communities of Nepal"という題で掲載されている。 第2の成果は、出生力の近接要因である家族計画に関してである。南アジアにおいて出生力の最大の決定要因は家族計画であると考えられてきたが、各家庭においての家族計画受入れの要因に関しての研究はほとんどない。ネパールのカトマンズ近郊の農村で実施した調査によって得られたミクロデータを用いることで、家族計画受入れの決定要因を把握することができた。分析の結果、女性の教育・収入が家族計画受入れと正の関係にあり、女性の子供を亡くした経験が家族計画受入れと負の関係にある、という結論を得た。この研究成果を、2005年6月に神戸大学にて行われた第57回日本人口学会全国大会で、"Who are the birth limiters in Nepal? A Case study of rural Kathmandu Nepal"という題で発表した。
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Research Products
(1 results)