2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポピュラー文化における戦争の表象と戦争の集合的記憶の形成
Project/Area Number |
05F05030
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜 日出夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAKAR Eldad 慶應義塾大学, 文学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 原爆 / ホロコースト / 杉原千畝 / 集合的記憶 / マンガ / 博物館 |
Research Abstract |
研究代表者は昨年度に引き続き8月6日の原爆忌前後に広島で行なわれる追悼行事に関する調査を行なった。具体的には、被爆者が被爆当日に避難したコースをじっさいにたどって歩くツアーと、市内の原爆遺構をめぐるツアーに参加して参与観察を行なった。これらは、原爆投下から60年を過ぎて、被爆者の高齢化が進み、被爆体験の継承が困難になりつつあるなかで、被爆体験を身体的に複製し継承する試みとしてとらえることができる。また原爆の集合的記憶を形成するうえで、空間のうちに刻まれた痕跡を身体的にたどることが重要な意義をもつことを示す例でもある。 研究分担者はふたつの調査を並行して行なった。ひとつには、戦後日本のマンガに見られる戦争の表現の変化を通して、第2次世界大戦についての記憶の変容にかんする調査・分析を行なった。その成果は論文「天国から地獄へ」にまとめて発表した。もうひとつは、「日本のシンドラー」として知られる外交官杉原千畝のライフストーリーの語られ方にかんする国内外の資料を収集して分析するとともに、杉原の出身地である岐阜県人百津、およびイスラエル・エルサレムにあるヤド・ヴァシェム(ホロコースト記念館)でフィールドワーク調査を行ない、杉原に関するインターナショナル/ナショナル/ローカル各レベルの集合的記憶の重層性を比較分析した。その結果は、"The Biography of Sugihara Chiune : a postwar Japanese endeavor to craft a memory space for a hero"として、スペインで開催された国際学会、第5回MESEA大会において報告した。
|
Research Products
(3 results)